不動院跡(ふどういんあと)二尊種子板碑

 不動院跡(ふどういんあと)(千葉県香取市山之辺)

   碑面に釈迦種子と阿弥陀種子を並列に刻んだ大形の下総板碑で、鎌倉時代後期 延慶二年(1309)の紀年銘がある。

不動院跡二尊種子板碑 (鎌倉時代後期 延慶二年 1309年、黒雲母片岩、高さ 115Cm 幅 113Cm)

道路沿いに立つ大形板碑。身部は、中央に釈迦種子と阿弥陀種子を並列に、上方に金剛界五仏種子と大日如来真言、下方に銘文を刻む。

板碑 頭部

頭部は水平、下に二条線、その下に「金剛界五仏種子」と大日如来真言「ア・バ・ラ・カ・キャ」を刻む。身部の輪郭はない。

二条線下方の金剛界五仏と大日如来真言

向って右から金剛界大日(バン)・阿閦(ウーン)・宝生(タラーク)・阿弥陀(キリーク)・不空成就(アク)の種子を刻み金剛界五仏とする。

続いて梵字で「ア・バ・ラ・カ・キャの大日如来真言を刻んでいる。

身部向って左側、阿弥陀種子「キリーク」 身部向って右側、釈迦種子「バク」

両尊は、瓔珞(ようらく)のついた天蓋と蓮台で荘厳する。瓔珞(ようらく)は、釈迦種子分を線状、阿弥陀種子分を点状に刻み変化をつける。

身部下方の刻銘

向って右端、上方に不動明王の種子「カーンマン」、その下に「右志為後生菩提法界」左端上方に

毘沙門天(多聞天)の種子「バイ」、その下に紀年銘を刻む。また、下方全体に交名など十四行に亘る刻銘がある。

毘沙門天の種子「バイ」、下に「延慶二年(1309) 不動「カーンマン」、下に「右志為後生菩提法界」

身部下方の刻銘(十四行)

刻銘:「口然口氏口口、昌仏口口末正、口長口長定信、介光道弘白口、口智行忍口口、作仏重近守家、成蓮口口口口、

介守妙恵妙仏、口元吉弘法一、口光安守守光、有吉弘吉法実、妙城了道行口、忠安妙光、口口法鏡」(千葉県 史料 金石文篇二)

銘:「延慶二年(1309)、己酉、十二月十五日、敬白 頭部の二条線は、深く刻むが左右とも端まで刻まず、中途で終わっている。

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不動院跡(ふどういんあと)全景

大形の下総板碑が二基、小型の下総板碑が三基安置されている。

 板碑(いたび)

*不動院跡は、JR成田線「大戸駅」下車、南東方向へ徒歩 約13分で大戸神社、大戸神社 南の三差路で東方向へ左折、約650m道なりに歩けば右側にある。隣が山之辺区公会堂。

(撮影:平成25年3月12日)