國昌寺(こくしょうじ)(埼玉県さいたま市緑区大字大崎2378)
阿弥陀如来の種子を刻んだ板碑で、紀年銘は剥落して不明だが鎌倉時代中期の特長を色濃く備えた板碑。
國昌寺(こくしょうじ)阿弥陀一尊種子板碑 (市指定文化財、鎌倉時代中期、緑泥片岩、高さ 195Cm 幅 51Cm 厚さ 8Cm)
山門背後、境内入口付近に立つ。身部は、上方に阿弥陀種子を蓮座上月輪内に、下方は紀年銘を刻むが惜しくも剥落している。 |
低い山形、二条線や月輪の形、成形されていない根部の出っ張り、厚さが8Cmと厚く重量感がある。どこを見ても古様を示し、鎌倉時代中期の特長を備えている。
板碑 頭部
頭部山形は低く 鈍角に開く、下に二条線、身部は二重線の輪郭を巻く。
蓮座上月輪内に阿弥陀の種子「キリーク」を刻む。 | 身部下方、紀年銘は剥落し「月日」の刻銘が残る。 |
おおよそ鎌倉時代後期以降の月輪は、蓮座(蓮実)の横から円が刻まれ下部が切れた円形となっている。本板碑は蓮実がなく、月輪は完全な円形で、
この形は、善応寺阿弥陀一尊種子板碑(仁治三年 1242年)や願成寺阿弥陀一尊種子板碑(正嘉二年 1258) 等、古い紀年銘を持つ板碑に見られる。
板碑 下方
根部は突出し、成形されていない。
板碑は、石積みの上に立てられている。 | 板碑、側・背面 |
國昌寺(こくしょうじ)阿弥陀三尊種子板碑(埼玉県さいたま市緑区大字大崎2378)
阿弥陀三尊種子を正面に刻んだ板碑で、観無量寿経に出る「光明遍照 偈(げ)」を刻んでいる。
善応寺 阿弥陀三尊種子板碑 (年紀不明、緑泥片岩)
頭部山形、下に二条線、身部は一重線の輪郭を巻き、上方に阿弥陀三尊、下方中央に「逆修、・・・・」、左右に各二行「光明遍照 偈(げ)」を刻む。
阿弥陀三尊種子は、上方に阿弥陀如来の種子「キリーク」、向って右下 に観音菩薩の種子「サ」、左に勢至菩薩の種子「サク」を刻む。
偈(げ):「光明遍照(こうみょうへんじょう)、十方世界(じっぽうせかい)、念仏衆生(ねんぶつしゅじょう)、摂取不捨(せっしゅふしゃ)」
[ 光明はあまねく十方世界を照らし、念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず。]
國昌寺(こくしょうじ)阿弥陀一尊種子板碑(埼玉県さいたま市緑区大字大崎2378)
阿弥陀如来の種子を正面に刻んだ板碑で、南北朝時代 応安八年(1375)の紀年銘がある。
國昌寺(こくしょうじ) 阿弥陀一尊種子板碑 (南北朝時代 応安八年 1375年、緑泥片岩、高さ 60Cm 下幅 21Cm)
頭部山形、下に二条線、身部は一重線の輪郭を巻き、上方に阿弥陀の種子「キリーク」、下方に「応安八年(1375)、六月八日」の紀年銘を刻む。
國昌寺(こくしょうじ)本堂 (曹洞宗)
國昌寺は、安土桃山時代 天正年間(1573~92)に開山された。
國昌寺(こくしょうじ) 山門 (市指定文化財、江戸時代中期、切妻屋根)
*JR京浜東北線「浦和駅東口」から国際興業バス「浦和美園駅」行きに乗車、「バイパス大崎バス停」下車、北方向へ徒歩 約400m。
(撮影:平成25年3月9日)