大霊神社(たいれいじんじゃ)題目板碑(埼玉県秩父郡東秩父村御堂1533)
大霊神社境内に立つ板碑群中、最初にひげ文字の題目が刻まれた板碑で、安土桃山時代 天正七年(1579)の紀年銘がある。
大霊神社 題目板碑(中央)(村指定文化財、安土桃山時代 天正七年 1579年、緑泥片岩、高さ 200Cm 下幅 64Cm)
板碑群五基の内、左から二基目の板碑。初めて題目がひげ文字で刻まれ、その下に「真読千部成就銘文」の刻銘がある。 |
板碑 頭部
頭部山形、下に二条線、身部は一重の輪郭を巻く。輪郭内最上部の左右に日・月を刻む。
身部、上方の刻銘 | 身部、下方の刻銘 |
身部上方は、中央にひげ文字で「南無妙法蓮華経」、左右に「南無多寶如来」、「南無釈迦牟尼佛」を蓮華座上に刻み主題両尊(題目三尊)とする。
身部中央は、「真読千部成就銘文」、向って右に「日蓮大士」、左に「日朗聖人」その下左右に日正、日雄、日如など日号の交名16名を刻む。
身部下方は、左右に「天正七(1579)己卯」、「十月二十八日」と刻む。交名の日雄は浄蓮寺十一世で、浄蓮寺に自らが願主となり造立した 題目板碑
が残っている。日如もまた浄蓮寺の僧で、池上本門寺の山門 金剛神像の中から松山城主上田朝直と共に、山門建立の施主となった銘札が発見されている。
日如は、上田一族の可能性が高いという。また、上田朝直は、元亀二年(1571)に「真読一千部善願成就之銘文」として、東松山市に 題目板碑を建立している。
刻銘:「真読千部成就銘文」 | 刻銘:「天正七(1579)己卯」 |
身部、下方
この時代の刻銘は、彫りが浅く摩耗もあり、肉眼では判読しにくい。
本板碑は、日号を名乗る浄蓮寺の僧達が建立したと思われる。 |
板碑、背面 |
大霊神社(たいれいじんじゃ)千部供養 板碑群
向って左から二基目が、天正七年(1579)銘 題目板碑。五基とも法華経を千部唱えた記念として造立されている。
*東武東上線 JR八高線 小川町駅前からイーグルバス 白石車庫前行きに乗車、「御堂バス停」下車、東方向へ徒歩 約4分。
(撮影:平成24年11月12日)