楞厳寺(りょうごんじ)(埼玉県上尾市瓦葺1043)
「南無阿弥陀仏」の六字名号を主尊とし、観音・勢至の種子を脇侍とする珍しい複合板碑。鎌倉時代後期 嘉暦四年(1329)の銘がある。
楞厳寺(りょうごんじ)名号・種子複合板碑 (鎌倉時代後期 嘉暦四年 1329年、緑泥片岩、高さ 106Cm 下幅 30Cm)
本堂手前 左手、外向きに立つ。身部に「南無阿弥陀仏」の六字名号、その下 左右に観音・勢至の種子を刻んだ珍しい複合板碑 |
板碑 上部
頭部山形、下に二段の切込、身部は一重線の輪郭を巻く。
身部、六字名号「南無阿弥陀佛」 | 名号の下、左右に「観音・勢至」の種子を刻む |
阿弥陀三尊の主尊 阿弥陀如来を「南無阿弥陀佛」の名号に置き換え、向って右下 に観音菩薩の種子「サ」、左に勢至菩薩の種子「サク」を刻む。
主尊、両脇侍とも、蓮座なしに刻まれている。
身部下方の刻銘
刻銘:「嘉暦四、年(1329)正月、十九日」
名号の下、左右に阿弥陀如来の脇侍を刻む珍しい板碑。 | 板碑背面、鑿(のみ)の痕が残り、頭部山形は斜に削られている。 |
名号と種子を刻んだ板碑には、行田市の真名板薬師堂 阿弥陀種子・名号複合板碑(建治元年 1275年)や東松山市の青鳥城跡 阿弥陀種子・名号複合板碑
(正中三年 1326年)があるが、いずれも阿弥陀如来の種子「キリーク」を上方に大きく刻み、その下に「南無阿弥陀仏」の六字名号を刻んでいる。
楞厳寺(りょうごんじ)本堂
楞厳寺は、室町時代に喜翁禅師(永禄七年 1564没)により開山された。
*JR東北本線 東大宮駅西口①番のりばから東武バス「原市団地」行きに乗車、「氷川神社バス停」下車 西方向へ 約100m。
(撮影:平成25年3月10日)