地獄谷(じごくだに)石窟仏 [聖人窟]

 地獄谷(じごくだに)石窟仏(聖人窟)(奈良県奈良市高畑町春日奥山)

   凝灰岩(ぎょうかいがん)をくり抜いた石窟で、線刻の仏像が彩色されている。聖(ひじり)が住んでいたという伝承があり「聖人窟(せいじんくつ)」とも呼ばれる。

地獄谷(じごくだに)石窟仏 (聖人窟)(国史跡、奈良時代後期、凝灰岩、正面中尊座高 101Cm)

 如来坐像(にょらいざぞう)(正面中尊、廬舎那仏・釈迦・弥勒仏の諸説がある)

地獄谷(じごくだに)石窟仏 如来坐像 (国史跡、奈良時代後期、凝灰岩、座高 101Cm)

正面中央の中尊で、右手は施無畏印、左手は与願印、胸に卍の吉祥相を刻む。光背は、二重円光背。

線刻された仏像は、今も彩色が残り格調が高く美しい

正面中央の中尊で、廬舎那仏・釈迦・弥勒仏など尊名に諸説ある。また、造立年代に関しても、平安時代後期説がある

中尊 蓮華座

蓮華座は高さ 28Cmで、下七弁、上十二弁。線は強く、結跏趺坐の姿と共に優美で美しい

 如来立像(にょらいりゅうぞう)(正面・左、薬師如来)

二重円光背を負い、右手施無畏印、左手与願印の立像で蓮華座上に立つ。着衣が、腹前で紐を結んだ天部形で珍しい。

如来立像 (国史跡、平安時代後期、凝灰岩、像高 92Cm)

彩色が重ねられ、両眼に下に古い彩色が現れ、眼が四つに見える。平安時代後期の追刻と考えられている。

地獄谷(じごくだに)石窟仏(聖人窟)正面の三尊

 十一面観音立像(じゅういちめんかんのんりゅうぞう)(正面・右)

二重円光背を負い、蓮華座に立つ十一面観音で、面部・頭部化仏は線刻せずに彩色で描かれる。作風の違いから、室町時代の追刻説もある

十一面観音立像 (国史跡、平安時代後期、凝灰岩、像高 87Cm)

 妙見菩薩坐像(みょうけんぼさつざぞう)(側壁東面)

妙見菩薩坐像 (国史跡、平安時代後期、凝灰岩、座高 79Cm)

右手に蓮華を持ち、左手は何も持たない 座高 79Cm。二重円光背の外側に、星座が彫られている。

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地獄谷石窟仏 全景

凝灰岩をくり抜いた石窟で、高さ 約2.4m、幅 3.9m、奥行 約2.9m。左手壁面と天井を大破する

 石  仏-紀年順-目次

*JR奈良・近鉄奈良下車、奈良交通バスの市内循環バス乗車「破石町」下車、徒歩 約5.5Km。

(撮影:平成19年1月20日、平成22年6月10日)