東光寺石窟 阿弥陀三尊種子石塔婆(仙台市史 No:B1-54)

 東光寺(とうこうじ)(宮城県仙台市宮城野区岩切字入山22)

   東から二基目の石窟内、中央に立つ石塔婆で、阿弥陀三尊種子を主尊とする。鎌倉時代後期 応長元年(1311)の紀年銘がある。

阿弥陀三尊種子石塔婆 (鎌倉時代後期 応長元年 1311年、花崗質砂岩、高さ 166.2.Cm 幅 119.2Cm 厚さ 26Cm)
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石塔婆は、溝状の掘り込みにはめ込む形で据えられ、上方に阿弥陀三尊種子、下方に長文の願文と紀年銘を刻む。

阿弥陀種子の蓮座下、「没故沙弥向阿霊位」と刻み散蓮華で荘厳する。「向阿」という阿号を持つ在俗出家者の追善碑となっている。

石塔婆 上方

阿弥陀三尊の種子を蓮座上に薬研彫する。

三尊種子は、上方に大きく阿弥陀如来の種子「キリーク」、向って右下 に観音菩薩の種子「サ」、左に勢至菩薩の種子「サク」を刻む。

石塔婆 下方

八行に亘る長文の刻銘がある。

石塔婆 下方の願文

刻銘:「夫以慈天幽儀趣黄泉、寔攘以来相当烏莵十旬造、立支提破三有暖処鳴呼悲、

哉孟秋何天五九年齢空没、哀哉中冬何月期三々蓮宋、仏誓不空定験哀愍成仏有、

憑必無引接、矣、干時応長元年(1311)、十一月二日 孝子等、敬白」口口口口口口口

阿弥陀種子 蓮座の下、散蓮華上に刻銘がある。 散蓮華上の刻銘:「没故沙弥向阿霊位」

散蓮華上に刻まれた「没故沙弥向阿霊位」の刻銘は下方の願文と異なる筆致で刻まれている。

東光寺(とうこうじ)石窟 石塔婆群

 東光寺(とうこうじ)(宮城県仙台市宮城野区岩切字入山22)

   石窟群、東から二番目の石窟に多数の石塔婆がある。この石窟は、磨崖仏を刻んだ痕跡はない。

東光寺石窟(とうこうじせっくつ)石塔婆群 (鎌倉時代後期~南北朝時代)

石窟内中央の大型石塔婆は、上記 阿弥陀三尊種子石塔婆( 鎌倉時代後期 応長元年:1311年銘)。

金剛界大日種子石塔婆(仙台市史 No:B1-51) 胎蔵界大日三尊種子石塔婆(仙台市史 No:B1-52)
紀年銘なし、花崗質砂岩、高さ 58.2Cm 幅 22.4Cm 紀年銘なし、花崗質砂岩、高さ 50.8Cm 幅 30.8Cm
種子:「バン」 種子、主尊:「ア」、脇侍:「サ」、「サク」

胎蔵界大日三尊石塔婆は、上方に胎蔵界大日種子「ア」、向って右下に観音種子「サ」、左に勢至種子「サク」を刻む。大日を主尊とし、阿弥陀の脇侍を刻む珍しい三尊形。

東光寺(とうこうじ)石窟 石塔婆(種子部欠失)(南北朝時代初期 建武元年 1334年、高さ 32.2Cm 幅 20.6Cm 厚さ 8Cm)

種子部を決失する石塔婆で、南北朝時代初期「建武元年(1334)甲戌、六月・・・」の銘が残る。(仙台市史 No:B1-50)

金剛界大日種子・名号複合石塔婆(仙台市史 No:B1-53) 地蔵種子石塔婆(仙台市史 No:B1-52)
紀年銘なし、井内石:粘板岩、高さ 126.4Cm 幅 23.6Cm 紀年銘なし、花崗質砂岩、高さ 140.6Cm 幅 74.4Cm
種子:「バン」、「南無阿弥、陀、仏」 種子:「イ」

金剛界大日種子・名号複合石塔婆は、上方に金剛界大日種子「バン」、その下縦に「南無阿弥」、横に「陀仏」と刻まれている。

一尊種子石塔婆(仙台市史 No:B1-57) 金剛界大日種子石塔婆(仙台市史 No:B1-59)
紀年銘なし、井内石:粘板岩、高さ 49.6Cm 幅 24Cm 紀年銘なし、安山岩、高さ 112Cm 幅 42.8Cm
種子:「ラー」(仏尊不明) 種子:「バン」

 東光寺(とうこうじ)西平場 大日種子石塔婆                     石仏と石塔-目次!

東光寺(とうこうじ)石窟 群

向って右から三番目、前面に鉄枠のはまっているのが 穴薬師石窟、その左隣で鉄製の階段がある石窟にも磨崖仏が刻まれている。

右から二番目の石窟に石塔婆群が安置されている。

 板碑(いたび)

*東北本線「岩切駅」下車、北西方向へ徒歩 約15分。

(撮影:平成25年10月11日)