弥勒寺(みろくじ)阿弥陀種子板碑(仙台市史 No:D-3)

 弥勒寺(みろくじ)(宮城県仙台市青葉区下愛子舘 28)

   阿弥陀種子を主尊とする凝灰岩製板碑で、銘文が美しく残っている。鎌倉時代後期 元亨四年(1324)の在銘。

弥勒寺 阿弥陀種子板碑 (鎌倉時代後期 元亨四年 1324年、凝灰岩、高さ 173.2Cm 幅 99Cm 厚さ 16.2Cm )

凝灰岩製の板碑で、頭部 山形を欠損する。碑面は研磨し、上部に阿弥陀種子「キリーク」、下方に願文・紀年銘、光明真言を刻む。

板碑 上部

身部上方に一条の横線、その下に阿弥陀如来の種子「キリーク」を薬研彫する。

板碑下部、刻銘

刻銘は、中央に「元亨四年(1324)、甲子、二月廿五日、時正、中日、遺弟比丘両圓等、敬白」、左右に

右志者奉為相當先師圓公尊霊」、「五七日之忌辰今成三菩提之故也、その両側に梵字で「光明真言」が刻まれている。

元亨四年(1324)二月廿五日 春の彼岸の中日に、先師 円公の三十五日忌(五七日忌)を追善供養する為、遺弟 両円 等により造立された。

刻銘:「元亨四年(1324)、甲子、二月廿五日、時正、中日 梵字 「光明真言」

光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ、シャ、ナ、マ、カー、ボ、ダラ」 「マ、ニ、ハン、ドマ、ジンバ、ラ、ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン」

紀年銘にある時正(じしょう)とは、太陽が真東から真西に沈む彼岸の中日のことで、この日に法事を選んで行うのは、真西に極楽浄土があると信じられていた。

願文と紀年銘。三行は、それぞれ割付線がみられる。 板碑、側・背面

弥勒寺(みろくじ)本堂

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弥勒寺(みろくじ) (臨済宗)

最初は、天台宗の寺院して名取郡茂庭村折立の開山され、その後現在地へ移転したという。

 板碑(いたび)

*JR 仙山線「陸前落合駅」下車、南西方向へ徒歩 約24分。板碑は、本堂と屋外の大きな弥勒石仏のあいだあたりに立っている。

(撮影:平成26年4月9日)