(仙台市史 No:E 3-2)
東北大学植物園(青葉山)内(宮城県仙台市青葉区川内12-2)
青葉山に並んで二基立つ大型石塔婆の一基で、弘安十年(1287)の銘がある処から「蒙古の碑」と呼ばれている。
金剛界大日三尊種子石塔婆(蒙古の碑)(鎌倉時代中期 弘安十年 1287年、花崗質砂岩、高さ 186Cm 幅 127Cm 厚さ 28.5Cm)
正安四年銘 不動種子石塔婆と並び立つ。碑面は、上方 天蓋の下に金剛界大日三尊種子、下方に長文の願文と紀年銘を刻む。 |
青葉山には虚空蔵堂、滝川院、寂光寺、大満寺、大蔵寺、光禅寺、長泉寺、玄光寺など多くの寺院があったといわれている。
石塔婆 頭部(天蓋は中尊部)
頂部が山形の自然石で、三尊の上に各々天蓋(てんがい)を刻み荘厳する。
石塔婆上方、金剛界大日三尊種子 | 石塔婆、側面及び正面 |
三尊種子は、上方に金剛界大日如来の種子「バン」、向って右下 に釈迦如来の種子「バク」、左下に多宝如来の種子「ア」を刻む。
三尊は、夫々瓔珞(ようらく)を垂らした天蓋(てんがい)と二重の月輪、蓮座で荘厳する。石塔婆の外形は、ほとんど成形されておらず、その落差に驚く。
三尊 中尊(金剛界大日大日)
上方に金剛界大日如来の種子「バン」を薬研彫する。
脇侍仏(種子)
向って右下 に釈迦如来の種子「バク」、左下に多宝如来の種子「ア」を刻む。
石塔婆 下方 (刻銘)
刻銘:「夫以天地昇下久時何在日月流運長年孰執、懿親去咸層亡人生之短気蠹然難留者乎、
爰禅定比丘[ 陸奥、州主]去仲冬下旬之候背南郊赤日趣黄、泉冥路温形於一行之煙消訖北口之露已来、
日月早積五旬・・・・・仏口百ケ日仍口口已、口霊之・・・・・・・・・・・・・・・・・・・父母口、
大日遍照之形・・・種子弔二世檳糧然口、則口三界黄域臻口及口利・・・・之口追、
南域於即口口白・・・・・・・・・・・・・来口、口口口至自口一円口之口也而已」
「弘安第十歳(1287)二月時正第六番、勧進口寿妙願主、敬白」
刻銘は、全体に摩耗が進んでいる。そのなかで三行目に「禅定比丘 陸奥州主」として被供養者が、最後の行に願主として「寿妙」 の名前が出ている。
銘:「弘安第十歳二月時正第六番、勧進口寿妙願主、敬白」 | 刻銘:「夫以天地昇下及時何在日月流・・・・・・・・・」 |
川内(かわうち)胎蔵界大日三尊種子石塔婆、裏面
青葉山に立つ「蒙古の碑」と「正安の碑」
向って右側は、「カンマーン(不動明王)」を主尊とする全長 386Cmの井内石製石塔婆。
パンフレットによれば「蒙古高句麗の碑」がなまって「もくりこくりの碑」とも呼ばれていた。
*石塔婆は、植物園内に立っている(開園期間は、春分の日から~11月30日。有料)。植物園には、JR仙台駅前から市バス 719系統 動物園循環 に乗車、「青葉山植物園ゲート前バス停」下車、徒歩 約1分。
(撮影:平成26年4月9日)