元徳(げんとく)の板碑[宮城県名取市上余田(かみようでん)大徳356]
銘文に鎌倉幕府の統治機構「政所(まんどころ)」の名称がある石塔婆で、鎌倉時代後期 元徳三年(1331)の紀年銘がある。
余田政所・元徳の碑(金剛界大日種子 石塔婆) (市登録文化財、鎌倉時代後期 元徳三年 1331年、安山岩)
碑面は、上方に大きく金剛界大日如来の種子「バン」、下方に造立趣旨・造立者と「元徳三年(1331)」の紀年銘を刻む。 |
法華経六十六部を写経して、日本全国六十六カ所の霊場に納めた聖(ひじり)(六十六部)に関する記述があり、また造立者として
「余田政所 浄空禅門也」の刻銘があり、当時、鎌倉幕府直属の統治機構 「政所(まんどころ)」が余田に設置されていたと思われる。
石塔婆 上部
金剛界大日如来の種子「バン」を薬研彫する。
石塔婆 下部
中央に「元徳三年(1331)辛未、十一月十五日」、左右に「右為六十六部旦那、四十八日念願」、「余田政所 浄空禅門也」と刻む。
鎌倉幕府直属の統治機構 「政所(まんどころ)」が当地に設置されていたと思われる記述がある。(刻銘の「念願」は、宮城縣史では「念仏」と読んでいる。)
刻銘:「余田政所」 | 刻銘:「元徳三年(1331)、辛未、十一月」 |
余田政所・元徳の碑、側・背面 (市登録文化財、鎌倉時代後期 元徳三年 1331年)
観音種子 石塔婆(安山岩)
隣にあった観音種子「サ」を主尊とする断碑。
余田政所・元徳の碑 (市登録文化財)
*JR東北本線「名取駅」下車、北東方向へ 約1.8Km。
(撮影:平成26年4月8日)