天麟院(てんりんいん)(宮城県宮城郡松島町松島町内51)
中心に金・胎 両大日種子、その周りに胎蔵界中台八葉院と金剛界成身会 八供養菩薩・四摂菩薩を配した曼荼羅板碑で、鎌倉時代中期 弘安七年(1284)の紀年銘がある。
天麟院(てんりんいん)曼荼羅板碑 ( 鎌倉時代中期 弘安七年 1284年、粘板岩、高さ 141Cm)
天麟院廟所背後、崖面に掘られた石窟のいちばん南側入口に立っている。曼荼羅板碑は、上部を損傷するが、比較的良好。 |
板碑上方は曼荼羅部で、中央月輪内に夫々 金剛界大日種子、胎蔵界大日種子を刻み、それを大月輪で囲む。金・胎両大日の周りには、八葉の蓮弁を刻み、その蓮
弁内に月輪を設け胎蔵界中台八葉院の八尊種子を各々刻む。また、内部区画の四隅と外部区画の四隅に金剛界八供養菩薩、外部区画の東西南北に金剛界四摂菩
薩の種子を月輪内に各々刻む。形式は、金剛界曼荼羅 成身会の中心に胎蔵界大日を加え、金剛界四仏の代わりに胎蔵界中台八葉院を充てた形式になっている。・
曼荼羅(まんだら)部
種子は、下記の配置になっている。
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金剛華菩薩 | 金剛鎖菩薩 | 金剛燈菩薩 | |||||||||||||
オン | バン | ヂータ | |||||||||||||
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- | 金剛鬘菩薩 | - | - | - | 金剛歌菩薩 | ||||||||||
- | タラタ | - | ギーク | ||||||||||||
弥勒菩薩 | 宝幢如来 | 普賢菩薩 | |||||||||||||
ユ | ア | アン | |||||||||||||
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金剛索菩薩 | - | 天鼓雷音 | - | 大日如来(金) 大日如来(胎) | - | 開敷華王 | - | 金剛鈴菩薩 | |||||||
- | ウーン | アク | バン アーク | アー | コク | ||||||||||
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観自在菩薩 | 無量寿 | 文殊菩薩 | |||||||||||||
ボ | アン | ア | |||||||||||||
- | 金剛嬉菩薩 | - | 金剛舞菩薩 | ||||||||||||
コク | キリタ | ||||||||||||||
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金剛香菩薩 | 金剛鉤菩薩 | 金剛塗菩薩 | |||||||||||||
アク | ジャク | ギャク | |||||||||||||
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曼荼羅の種子配置
赤字は金・胎両大日、黄字は胎蔵界中台八葉院、青字は金剛界八供養菩薩、桃色字は金剛界四摂(ししょう)菩薩。
(方向は、胎蔵界は上方が東で向かって左が北。金剛界は、上方が西で向って右が北)
板碑、下方
中央に「弘安七年(1284)、甲申、潤四月十日禅王殿」、左右に各五行 計十行の銘文を刻む。
碑面下部、向って左側の銘文 ② | 碑面下部、向って右側の銘文 ① |
銘文①:右から「夫無常風扇不択口若之、林轉変雲聳不論高低口、嶺所以金谷新開之花暴、風吹而早零南楼未傾之、月浮雲掩而忽暗変渾家」
銘文②:右から「父母銘肝之悲無歇闔山、衆徒満衫之涙未乾五七、日忌已到依茲聊建浮図、以望救抜伏願亡魂直入、無常門常遊空玉殿口而」紀年銘を挟んで、左右に各五行、上記の刻銘がある。
刻銘:「弘安七年(1284)、甲申、潤四月十日」 | 板碑、側背面 |
最南の石窟
入口に曼荼羅板碑が立っている。
天麟院(てんりんいん)(臨済宗 妙心寺派)
天麟院は、伊達正宗と正室 愛姫との間に生まれた五郎八(いろは)姫の菩提寺。
*JR仙石線 「松島海岸駅」下車、北方向へ徒歩 約6分。
(撮影:平成26年4月10日)