金ヶ瀬薬師堂(かながせやくしどう)(宮城県柴田郡大河原町金ヶ瀬字薬師)
小さな薬師堂の横に立つ石塔婆で鎌倉後期の元亨元年の紀年銘がある。境内の周りには、残り十五基の自然石塔婆(板碑)が立っている。
金ヶ瀬薬師堂 曼荼羅自然石塔婆(町指定文化財、鎌倉時代後期 元亨元年 1321年、安山岩、高さ 162Cm)
頂部弧状で長方形の自然石表面上部に、大月輪を線刻し胎蔵界曼荼羅の中台八葉院を種子で表し、その下に「諸行無常」の偈を刻む |
曼荼羅(まんだら)部 (胎蔵界曼荼羅 中台八葉院)
線刻 大月輪の内部中央に、月輪内胎蔵界大日如来の種子「アーク」、周りに胎蔵界四仏、四菩薩を月輪内に刻み中台八葉院を表す
四仏・四菩薩の種子は上から時計回りに、「ア(宝幢)」、「アン(普賢)」、「アー(開敷華王)」、「ア(文殊)」、「アン(無量寿)」、「ボ(観音)」、「アク(天鼓雷音)」、「ユ(弥勒)」
「諸行無常」偈 (雪山の偈)
偈:「諸行無常(しょぎょうむじょう)、是生滅法(ぜしょうめっぽう)、生滅滅已(しょうめつめつい)、寂滅為楽(じゃくめついらく)」
(諸行は無常である。これ生滅の法である。生滅を滅しおわりて、生も滅もない寂滅を楽しみとする。)
雪山はヒマラヤ山のことで、万物が流転する方則を説いたもの(涅槃経)
下部中央の刻銘:「元亨元歳(1321)辛酉、悲母」 | 胎蔵界曼荼羅 中台八葉院 |
石塔婆 下部
「諸行無常」の偈四句の下に紀年銘(元亨元年:1321年)と悲母の刻銘。亡き母の追善として造立された
金ヶ瀬(かながせ)薬師堂 自然石塔婆群(1) 石仏と石塔-目次!
金ヶ瀬 薬師堂
薬師堂を囲んで十六基の石塔婆(板碑)が立っている
*JR東北線「大河原駅」下車、西方向へ徒歩 約27分。
(撮影:平成22年11月14日)