長泉院(ちょうせんいん)(宮城県石巻市東福田字沢向井55-1)
大日報身真言 「ア・ビ・ラ・ウーン・ケン」を五輪塔形に刻んだ百ヶ日忌碑で、南朝年号 興国四年(1343)の紀年銘がある。
長泉院 梵字五輪塔石塔婆(南北朝時代前期 興国四年 1343年、粘板岩、高さ 247Cm 幅 45Cm 厚さ 17Cm)
長泉院 参道の右手に立っている。身部は、上方に梵字五輪塔、その下に観無量寿経に出る偈(げ)、下方は造立趣旨と紀年銘を刻む。 |
石塔婆は、向かって右側の一部を欠損している。全体に、摩耗・風化が進み、特に刻銘は肉眼ではほとんど読めない。
身部 上方
五輪塔形に図案化した大日報身真言 「ア・ビ・ラ・ウーン・ケン」を瓔珞(ようらく)のついた天蓋(てんがい)と蓮座で荘厳し、二線の輪郭を巻いている。
大日報身真言は、「ケン」を空輪に一字、「ウーン・ラ・ビ・ア」を風・火・水・地輪として左右対称に各二字、五輪塔形に刻む。
梵字五輪塔は「双円性海塔」と呼ばれ主要信仰の対象となっている。また、五輪塔形に向き合って刻まれた五字真言は、鎌倉時代後期のものは
「ア・バン・ラン・カン・ケン」の大日法身真言、鎌倉後期終盤から南北朝・室町時代のものは「ア・ビ・ラ・ウーン・ケン」の大日報身真言と変化している。
観無量寿経に出る偈(げ)
偈(げ):「光明遍照(こうみょうへんじょう)、十方世界(じっぽうせかい)、念仏衆生(ねんぶつしゅじょう)、摂取不捨(せっしゅふしゃ)」
[ 光明はあまねく十方世界を照らし、念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず。]
身部 下方
刻銘は、中央に南朝年号の「興国四年(1343)、癸口、如月(二月)日」、
両側に各一行「右志者為過去宗仏一百ケ日、乃至・・・含ホ(等)仏恩」と刻んでいる。
宗仏 百ケ日忌の追善供養として南北朝時代前期 興国四年(1343)年二月に造立された。
長泉院(ちょうせんいん)胎蔵界大日種子石塔婆 (宮城県石巻市東福田字沢向井55-1)
梵字五輪塔の右横に立つ石塔婆で、胎蔵界大日種子を主尊とする。紀年は不明だが、種子の書体 他から弘安期のものと推定されている。
長泉院 胎蔵界大日種子石塔婆(推定:鎌倉時代中期、粘板岩、高さ 161Cm 幅 33Cm 厚さ 13Cm) |
身部は、上方に胎蔵界大日種子、下方は何も刻まれていない。
身部 上方
胎蔵界大日如来の種子「ア」を刻む。
長泉院(ちょうせんいん)石塔婆群
門前の石段横に立っている。
長泉院(ちょうせんいん)(曹洞宗)
*JR石巻駅からミヤコ―バス石巻専修大学線 飯野川行きに乗車、福田バス停下車、南東方向へ徒歩 約12分。石巻駅前のレンタカーの店で、自転車を借りるのが便利。
(撮影:平成26年4月12日)