寺崎石塔婆群 南朝年号石塔婆 三基

寺崎(てらさき)阿弥陀種子石塔婆

 寺崎(てらさき)石塔婆群 (宮城県石巻市大瓜字寺崎)

   寺崎石塔婆群に三基ある南朝年号中一番新しい、興国四年(1343)銘の石塔婆。被供養者が、阿弥陀仏号を持っている。

寺崎 阿弥陀種子石塔婆 (南北朝時代前期 興国四年 1343年、粘板岩、高さ 109Cm 幅 35Cm 厚さ 9Cm)

頭部はアーチ型。身部は、上方に阿弥陀種子「キリーク」、下方に願文と「興国四年(1343)」の南朝年号を刻む。

石塔婆 上部

大きく阿弥陀種子「キリーク」を薬研彫する。

石塔婆 下方、刻銘

刻銘は中央に「興国四年(1343)・・・・・」その両側に「行阿弥陀佛」、「往生浄土故也」と刻む。

多福院の石塔婆も、南朝年号は興国四年(1343)を最後に、以後北朝の年号になっている。

刻銘:「興国四年(1343) 刻銘:「行阿弥陀佛」

被供養者は「行阿弥陀佛」で、時宗の阿弥陀仏号が刻まれている。

寺崎(てらさき)延元三年銘石塔婆

 寺崎(てらさき)石塔婆群 (宮城県石巻市大瓜字寺崎)

   寺崎石塔婆群に三基ある南朝年号中一番古い 延元三年(1338)銘の石塔婆。上部を欠く断碑で、完形であれば3m以上の大型石塔婆。

 寺崎 石塔婆(断碑) (南北朝時代前期 延元三年 1338年、粘板岩、高さ 146Cm 幅 95Cm 厚さ 4Cm) 

石塔婆は、上部を欠失し、下方のみ残っている。刻銘により、両親の追善供養として「延元三年(1338)」に造立されたことが分かる。

刻銘:「・・・・・・・摩耶威光、・・明照罪闇与福楽仍・・、口二親成仏為造如件、延元第三年(1338)月日敬白」

刻銘:延元第三年(1338) 寺崎石塔婆群には、高さ4mの完形石塔婆が一基存在する。

寺崎(てらさき)一尊種子石塔婆

 寺崎(てらさき)石塔婆群 (宮城県石巻市大瓜字寺崎)

   種子「カー」を刻む石塔婆で、南朝年号 延元五年(1340)の紀年銘がある。

寺崎 一尊種子石塔婆 (南北朝時代前期 延元五年 1340年、粘板岩、高さ 64Cm 幅 21Cm 厚さ 4Cm)

頭部はアーチ型。身部は、上方に種子「カー」、下方に「延元五年(1340)」の南朝年号と造立趣旨を刻む。

身部上方、種子「カー」 刻銘:延元五年(1340)

種子「カー」は、種子抄(望月有善 編)によると普賢・不動・降三世・大威徳明王などを表す梵字。「石巻の歴史第八巻」は、本種子を「地蔵菩薩」としている。

石塔婆 下方、刻銘

刻銘は中央に「延元五年(1340)、庚辰、三月廿九日、施主、敬白」

その両側に「右志者為過去聖霊乃、至法界平等利益故也」と刻む。

※ 寺崎石塔婆群(てらさきいしとうばぐん) 時代順一覧

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現地標示:「寺崎(てらさき)板碑群」

 板碑(いたび)

*JR石巻駅から北東方向へ 約3.7Km。石巻駅前のレンタカーの店で、自転車を借りるのが便利。住所でいえば、石巻市大瓜字寺崎90くらいの所で、道路沿いに立っている。当地域は、地元住民を対象にした乗合タクシーがあるだけで、バスの便はない。

(撮影:平成26年4月12日)