高木観音堂(たかぎかんのんどう)石塔婆群 (宮城県石巻市高木字竹下)
金剛界大日種子を主尊とする石塔婆で、南北朝時代中期 延文五年(1360)の紀年銘がある。
高木観音堂 金剛界大日種子石塔婆(南北朝時代中期 延文五年 1360年、粘板岩、高さ 130Cm 幅 30Cm 厚さ 18Cm) |
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石塔婆は前から五列目に立つ。身部は、上方に金剛界大日種子、その下に金剛般若経に出る偈、下方は造立趣旨と紀年銘を刻む。 |
身部 上方
月輪内に金剛界大日如来の種子「バン」を刻む。
金剛般若経に出る偈(げ)
偈(げ):「一切有為法(いっさいういほう)、如夢幻泡影(にょむげんほうよう)、如露亦如電(にょろやくにょでん) 、應作如是観(おうさにょぜかん)」
[ 一切の有為法(形成されたもの)は、夢・幻・泡・影の如く、露の如く、また電光の如し、応(まさ)に是(かく)の如き観を作(な)すべし。 ]
石塔婆、下部の刻銘 | 刻銘:「延文五年(1360)三月」 |
刻銘は、中央に「延文五年(1360)三月十九日、施主、 敬白」、
向って右に「右意趣者為宗用庵主口門出離生死」、左に「頓證菩提乃至法界衆生平等利益也と刻む。
高木観音堂(たかぎかんのんどう)石塔婆群 (宮城県石巻市高木字竹下)
一周忌に造立された石塔婆でその本尊 勢至種子を刻んでいる。南北朝時代中期 貞治二年(1363)の在銘。
石塔婆は前から三列目に立つ。身部は、上方に勢至菩薩の種子「サク」、その下に浄土教古徳之偈、下方に一周忌の造立趣旨と紀年銘を刻む。
身部 上方
一周忌の本尊 勢至菩薩の種子「サク」を薬研彫する。
浄土教古徳之偈
偈(げ):「十方三世仏(じっぽうさんぜぶつ)、一切諸菩薩(いっさいしょぼさつ)、八万諸聖教(はちまんしょしょうぎょう)、皆是阿弥陀(かいぜあみだ)」
[ 十方三世の御仏、一切の諸菩薩、八万の諸聖教は、みなこれ阿弥陀 也 ]
一句目が欠損しているが、後の三句で浄土教古徳之偈とわかる。
石塔婆、下部の刻銘
刻銘は、中央に「貞治二年(1363)二月、敬白」、向って右に「右志者為口」、左に「妙儀一周忌辰也」と刻む。
南北朝時代中期 貞治二年(1363)二月 妙儀の一周忌に本石塔婆を造立した。
刻銘:「貞治二年(1363)二月、敬白」 | 刻銘:「妙儀一周忌」 |
高木(たかぎ)観音堂 金剛界大日種子石塔婆 石仏と石塔-目次!
高木観音堂(かんのんどう)石塔婆群
観音堂の境内に、五列に並べられ約90基の石塔婆が立っている。
*JR石巻駅から北東方向へ 約7.7Km。石巻駅前のレンタカーの店で、自転車を借りるのが便利。
(撮影:平成26年4月13日)