高木観音堂(たかぎかんのんどう)石塔婆群 (宮城県石巻市高木字竹下)
逆修供養のため造立された石塔婆で、南朝年号 興国元年(1340)の紀年銘がある。
高木観音堂 阿弥陀三尊種子石塔婆(南北朝時代前期 興国元年 1340年、粘板岩、高さ 165Cm 幅 40Cm 厚さ 18Cm)
石塔婆は前から五列目に立つ。身部は、上方に阿弥陀三尊種子、その下に観無量寿経に出る偈、下方は造立趣旨と紀年銘を刻む。 |
身部 上方
三尊種子は、上方に大きく阿弥陀如来の種子「キリーク」、向って右下 に観音菩薩の種子「サ」、左に勢至菩薩の種子「サク」を月輪内に刻む。
「キリーク(阿弥陀)」と「サク(勢至)」の涅槃点が、通常の右横でなく、下方に刻まれている。
観無量寿経に出る偈(げ)
偈(げ):「光明遍照(こうみょうへんじょう)、十方世界(じっぽうせかい)、念仏衆生(ねんぶつしゅじょう)、摂取不捨(せっしゅふしゃ)」
[ 光明はあまねく十方世界を照らし、念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず。]
石塔婆、下部の刻銘 | 刻銘:「興国元年(1340)中(仲)冬(十一月)」 |
下方の刻銘は、中央に「興国元年(1340)中(仲)冬(十一月)十八日、施主、敬白」、
向って右に「右造立旨趣者為善根逆修」、左に「善根而又乃至法界平等利益故也と刻む。
高木観音堂(たかぎかんのんどう)石塔婆群 (宮城県石巻市高木字竹下)
三十五日忌に造立された石塔婆で、その本尊 地蔵種子「カ」を刻む。南朝年号 延元二年(1337)の紀年銘がある。
高木観音堂 地蔵種子石塔婆(南北朝時代前期 延元二年 1337年、粘板岩、高さ 140Cm 幅 34Cm 厚さ 13Cm) |
石塔婆は、二基の大型石塔婆の下、石垣にもたれて立つ。身部は、上方に地蔵種子「カ」、下方は造立趣旨と紀年銘を刻む。
身部 上方
やや摩耗しているが、地蔵菩薩の種子「カ」を刻む。
地蔵菩薩は、三十五日忌の本尊。
石塔婆、下部の刻銘刻銘は、中央に「右為 延元二年(1337)、丁丑、四月九日、施主、敬白」、
向って右に「志者妙法幽霊三十五日」、左に「忌辰造立口口平等利益故也と刻む。
高木観音堂(たかぎかんのんどう)石塔婆群 (宮城県石巻市高木字竹下)
阿弥陀三尊を主尊とする石塔婆で、南朝年号 延元二年(1337)の紀年銘がある。
高木観音堂 阿弥陀三尊種子石塔婆(南北朝時代前期 延元二年 1337年、粘板岩、高さ 145Cm 幅 60Cm 厚さ 25Cm) |
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石塔婆群、最後列。身部は、上方に阿弥陀三尊種子、下方は中央に紀年銘、その両側に各二行 涅槃経に出る偈を刻む。 |
身部 上方
三尊種子は、上方に大きく阿弥陀種子「キリーク」、向って右下 に観音種子「サ」、左に勢至種子「サク」を薬研彫する。
涅槃経に出る偈(げ)
偈(げ):「諸行無常(しょぎょうむじょう)、是生滅法(ぜしょうめっぽう)、生滅々已(しょうめつめつい)、寂滅為楽(じゃくめついらく)」
[ 諸行は無常である。これ生滅の法である。生滅を滅しおわりて、生も滅もない寂滅を楽しみとする。]
刻銘は、中央に「延元二年(1337)十一 廿二日、施主、敬白」、
向って右に「諸行無常、是生滅法」、左に「生滅々已、寂滅為楽」と刻む。
*JR石巻駅から北東方向へ 約7.7Km。石巻駅前のレンタカーの店で、自転車を借りるのが便利。
(撮影:平成26年4月13日)