高木(たかぎ)観音堂釈迦種子石塔婆

 高木観音堂(たかぎかんのんどう)石塔婆群 (宮城県石巻市高木字竹下)

   高木観音堂石塔婆群を代表する二基の大型石塔婆で、本石塔婆は鎌倉時代後期 正安四年(1302)の紀年銘がある。

 高木観音堂 釈迦種子石塔婆(向って左)(鎌倉時代後期 正安四年 1302年、粘板岩、高さ 314Cm 幅 46Cm 厚さ 14Cm)

石塔婆は、上方に釈迦種子、その下側に華厳経に出る偈(げ)、下方に亡き父の成仏のため造立した旨と紀年銘を刻む。

本石塔婆は、頭部が山形で、前方に向って反っている。

身部 上方

釈迦如来の種子を刻む。

通常の釈迦種子「バイ」に空点と荘厳点がつく。

華厳経に出る偈(げ)

石塔婆、下部の刻銘

下方の刻銘は、中央に「正安四年(1302)、壬刁(寅)三月廿三日 敬白」

向って右に「右志者為過去慈父成仏」、左に「乃至法界衆生平等利益故也」と刻む。

鎌倉時代後期 正安四年(1302)三月二十三日に亡き父の追善供養として、本石塔婆が造立された。

三界唯一心  → 心外無別法 → 心佛及衆生 → 是三無差別

華厳経に出る偈(げ)

偈(げ):「三界唯一心(さんがいゆいつしん)、心外無別法(しんげむべっぽう)、心佛及衆生(しんぶつぎゅうしゅじょう)、是三無差別(ぜさんむしゃべつ)

[ 三界は唯(ただ)一心にあり、心の外に別の法なく、心と仏と衆生、この三つに差別なし ]

(この偈は、おそらく源信が華厳経の句を集めて作ったと推測されている。)

石塔婆 下方

亡き父の追善供養として、本石塔婆が造立された。

刻銘:「正安四年(1302)、壬刁(寅)三月 石塔婆 背面、向って右側が本石塔婆

高木観音堂(かんのんどう)石塔婆群

観音堂の境内に、鎌倉時代後期 永仁四年(1296)を最古として、南北朝を経て、室町時代中期 長享二年(1488)までの石塔婆が約90基立つ。

※ 高木観音堂(たかぎかんのんどう)石塔婆群 一覧

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高木観音堂(かんのんどう)

曹洞宗の浸透により、廃寺になった天台宗 日塔山観音寺の跡に観音堂を建て、その本尊を祀った。

石塔婆は、時代からみても観音寺の頃の遺品と思える。

 板碑(いたび)

*JR石巻駅から北東方向へ 約7.7Km。石巻駅前のレンタカーの店で、自転車を借りるのが便利。

(撮影:平成26年4月13日)