高木(たかぎ)観音堂阿弥陀種子石塔婆

 高木観音堂(たかぎかんのんどう)石塔婆群 (宮城県石巻市高木字竹下)

   本朝浄土門古徳の偈(げ)が完全な形で刻まれている石塔婆で、室町時代前期 応永十二年(1405)の紀年銘がある。

高木観音堂 阿弥陀種子石塔婆 (室町時代前期 応永十二年 1405年、粘板岩、高さ 110Cm 幅 44Cm 厚さ 10Cm)
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石塔婆は前から五列目に立つ。身部は、上方に阿弥陀種子、下方に浄土経古徳之偈(げ)及び造立趣旨・紀年銘を刻む。

身部 上方

阿弥陀如来の種子「キリーク」を刻む。

石塔婆、下部の刻銘(全文) 中央部「妙覚禅尼十三年忌」以下の刻銘

刻銘は、中央に三行「右志者妙覚禅尼十三年忌、應永十二年(1405)、二月廿六日、孝子、 敬白」

向って右に「阿字十方三世仏 弥字一切諸菩薩」、左に「陀字八万諸聖教 皆是阿弥陀」と刻む。

室町時代前期 応永十二年(1405)二月二十六日、妙覚禅尼の十三回忌にあたり本石塔婆を造立した。

尚、両脇に刻まれている偈は通常「十方三世仏 一切諸菩薩 八万諸聖教 皆是阿弥陀」と記され、この様に完全な形で刻まれるのは珍しい。

阿字十方三世仏  → 弥字一切諸菩薩 → 陀字八万諸聖教 → 皆是阿弥陀

浄土教古徳之偈

偈(げ):「阿字十方三世仏(あじじっぽうさんぜぶつ)、弥字一切諸菩薩(みじいっさいしょぼさつ)、            

                              陀字八万諸聖教(だじはちまんしょしょうぎょう)、皆是阿弥陀(かいぜあみだ)

[ 阿字は十方三世の御仏、弥字は一切の諸菩薩、陀字は八万の諸聖教、みなこれ阿弥陀 也 ]

高木(たかぎ)観音堂地蔵種子石塔婆

 高木観音堂(たかぎかんのんどう)石塔婆群 (宮城県石巻市高木字竹下)

   地蔵菩薩の種子「カ」を主尊とする石塔婆で、室町時代前期 応永六年(1399)の紀年銘がある。

高木観音堂 地蔵種子石塔婆 (室町時代前期 応永六年 1399年、粘板岩、高さ 80Cm 幅 24Cm 厚さ 12Cm)

石塔婆は前から二列目に立つ。身部は、上方に地蔵種子「カ」、下方に願文と紀年銘を刻んでいる。

身部 上方

地蔵菩薩の種子「カ」を刻む。

石塔婆、下部の刻銘

刻銘は、中央に「應永六年(1399)八月廿八日、敬白」

向って右に「右志者為過去口口相当」、左に「乃至往生極楽平等利益故也」と刻む。

高木(たかぎ)観音堂胎蔵界大日種子石塔婆

 高木観音堂(たかぎかんのんどう)石塔婆群 (宮城県石巻市高木字竹下)

   胎蔵界大日種子「アーク」を主尊とする石塔婆で七回忌に造立された。室町時代前期 応永十八年(1411)の在銘。

高木観音堂 胎蔵界大日種子石塔婆(室町時代前期 応永十八年 1411年、粘板岩、高さ 60Cm 幅 20Cm 厚さ 10Cm)

石塔婆は前から二列目に立つ。上方は胎蔵界大日種子「アーク」、下方は造立趣旨と紀年銘を刻む。

身部 上方

胎蔵界大日如来の種子「アーク」を薬研彫する。

本碑は、七回忌に造立されたものだが、その本尊 阿閦如来の種子「ウーン」ではなく、諸仏の通種子である胎蔵界大日種子が刻まれている。

※ 高木観音堂(たかぎかんのんどう)石塔婆群 一覧

 高木(たかぎ)観音堂 胎蔵界大日種子石塔婆                   石仏と石塔-目次!

石塔婆の刻銘(全文) 刻銘:應永十八年(1411)二月」

刻銘は、中央に「右志者為 應永十八年(1411)二月十二日、孝子、敬白」

向って右に「過去口口禅尼七廻忌辰」、左に「乃至法界平等利益故也」と刻む。

 板碑(いたび)

*JR石巻駅から北東方向へ 約7.7Km。石巻駅前のレンタカーの店で、自転車を借りるのが便利。

(撮影:平成26年4月13日)