瑠璃殿(るりでん)(宮城県石巻市南境字金沢90-2)
五七日(三十五日)忌供養の為に造立された石塔婆で、南北朝時代後期 至徳三年(1386)の紀年銘がある。
瑠璃殿 地蔵種子石塔婆 (南北朝時代後期 至徳三年 1386年、粘板岩、高さ 110Cm 幅 28Cm 厚さ 10Cm)
頭部は、山形風。身部は、上方に地蔵種子「カ」、その下に「仏説延命地蔵菩薩経」に出る偈、下方は造立趣旨と紀年銘を刻む。 |
石塔婆、上部
五七日(三十五日)忌の本尊、地蔵菩薩の種子「カ」を刻む。
仏説延命地蔵菩薩経(偽経)に出る偈(げ)
( 偽経(ぎきょう):中国や朝鮮・日本でつくられた経。サンスクリット本その他から翻訳された経を真教・正経と呼ぶ。)
偈(げ):「若有重苦(にゃくうじゅうく)、我代受苦、若不尓者、不取正覚」
[ 若し重き苦しみあれば、我れ代りて苦を受けよう。そうでなければ、決して悟りを開きません。]
石塔婆、下方
口仙庵主 五七日忌供養の為、南北朝時代後期 至徳三年(1386)三月九日に本碑を造立した。
石塔婆、刻銘(全文)」 | 刻銘:「至徳三年(1386)、丙刁(寅)、三月」 |
刻銘は、中央に「右志趣者為 至徳三年(1386)、丙刁(寅)、三月九日、敬白」の紀年銘、
その両側に各一行「口仙庵主五七日忌辰之」、「乃至法界平等利益故也」と刻んでいる。
尚、通常は願文の冒頭部分にある「右志趣者為」の部分が、中央の紀年銘の上にあるのも、武蔵型板碑に見られない特長で注目される。
瑠璃殿(るりでん)(宮城県石巻市南境字金沢90-2)
阿弥陀種子を主尊とする小型の石塔婆で、室町時代中期 寛正六年(1465)の紀年銘がある。
瑠璃殿 阿弥陀種子石塔婆 (室町時代中期 寛正六年 1465年、粘板岩、高さ 46Cm 幅 22Cm 厚さ 14.5Cm)
頭部はアーチ風。身部は、上方に阿弥陀種子「キリーク」、下方は中央に被供養者名、冒頭に決まり文句、最後に紀年銘を刻む。 |
石塔婆、下方
刻銘は、中央に「右志者為 妙用禅尼」、
冒頭に「乃至法界平等利益也」、最後に「寛正六天(1465)六月・・・」と刻んでいる。
近世の石塔婆を挟んで立つ中世の石塔婆
瑠璃殿(るりでん)
*JR 石巻駅駅前からミヤコーバス 石巻専修大学線に乗車、「南境バス停」下車、東方向へ 約450m。石巻駅前のレンタカーの店で、自転車を借りるのが便利。
(撮影:平成26年4月12日)