安楽寺跡(あんらくじあと)阿弥陀種子石塔婆

 安楽寺跡(あんらくじあと)石塔婆群 (宮城県石巻市水沼字寺内)

   阿弥陀種子「キリーク」を主尊とする石塔婆で、本石塔婆群 最古の鎌倉時代中期 弘安六年(1283)の紀年銘がある。

安楽寺跡 阿弥陀種子石塔婆 (鎌倉時代中期 弘安六年 1283年、粘板岩、高さ 156Cm 幅 53Cm 厚さ 15Cm)

石塔婆群は計十六基、一列に並んだ 向って右から三基目が本石塔婆。身部は、上方に阿弥陀種子、下方に造立趣旨と紀年銘を刻む。

身部 上方

阿弥陀如来の種子「キリーク」を薬研彫する。

石塔婆、下部の刻銘(全文) 刻銘:弘安六年(1283)、大才、癸未、四月六日

刻銘は、中央に「弘安六年(1283)、大才、癸未、四月六日      孝子等、 敬白」

両側に「右志者為過去慈父聖霊」「出離生死往生極楽故也」と刻む。

鎌倉時代中期 弘安六年(1283)四月六日、亡き父の極楽往生を願って、子達が本石塔婆を造立した。

安楽寺跡 阿弥陀種子石塔婆 (鎌倉時代中期 弘安六年 1283年)

本石塔婆は、「風土記書上」仏閣の部に「此所昔東光山安楽寺ト申寺場ニ而弘安前後石塔数多」と書かれているという。

安楽寺跡(あんらくじあと)釈迦種子石塔婆

 安楽寺跡(あんらくじあと)石塔婆群 (宮城県石巻市水沼字寺内)

   釈迦如来の種子「バク」を主尊とする石塔婆で、三年忌の追善供養に造立された。鎌倉時代後期 元亨三年(1323)の紀年銘がある。

安楽寺跡 釈迦種子石塔婆 (鎌倉時代後期 元亨三年 1323年、粘板岩、高さ 80Cm 幅 26Cm 厚さ 8Cm)

石塔婆は中央にある祠から、向って左に四基目に立つ。身部は、上方に釈迦種子「バク」、下方に願文と紀年銘を刻んでいる。

身部 上方

釈迦如来の種子「バク」を薬研彫する。

石塔婆の刻銘(全文) 刻銘:元亨三年(1323)、癸亥

刻銘は、中央に「元亨三年(1323)、癸亥、二月廿・・、施、敬

向って右に「右志者為法念」、左に「逆修追善第三年也」と刻む。

鎌倉時代後期 元亨三年(1323)二月、法念の三回忌追善供養と施主の逆修供養のため本石塔婆を造立した。

安楽寺跡 釈迦種子石塔婆 (鎌倉時代後期 元亨三年 1323年)

本碑は、三回忌に造立されたものだが阿弥陀種子ではなく、釈迦種子「バク」が刻まれている。

この時代、忌日供養が十三仏として定型化していなかった。

※ 安楽寺跡(あんらくじあと)石塔婆群 一覧

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安楽寺跡(あんらくじあと) 石塔婆群

祠の向って左側に11基、祠の右側 近世の石塔婆二基があり、「弁慶石」と呼ばれる本石塔婆群最大の石塔婆から右に5基、計16基の中世石塔婆が立つ。

石塔婆群の年代は、弘安六年(1283)を上限とし、下限は文禄五年(1596)で、約三百十年に亘っている。

 板碑(いたび)

*JR石巻駅から北東方向へ 約10.7Km。石巻駅前のレンタカーの店で、自転車を借りるのが便利。

(撮影:平成26年4月13日)