上醍醐(かみだいご)町石笠塔婆(1)

 上醍醐町石(かみだいごちょういし)笠塔婆(京都市伏見区醍醐醍醐山)

 上醍醐への登山口から開山堂まで、一町ごとに町石が三十七基立てられ金剛界三十七尊を表した

上醍醐への登山口

一町石は失われたが、寺の記録から「文永九年(1272)三月日勧進僧入信座主権僧正」の銘文が刻まれていた。

町石は鎌倉時代中期の文永九年に立てられ、多くは笠を失っている。寛永十八年(1641)に再興した町石も十一基立っている

金剛索 二町 寛永十八年十月 日 高さ 127Cm 金剛鏁 三町 寛永十八年十月 日 高さ 130Cm

町石は花崗岩製で、正面上方に大きく梵字を刻み、その下に金剛界三十七尊、町目、側面に願主名、制作年を刻んでいる

金剛鈴 四町 寛永十八年十月 日 高さ 103Cm 金剛薩埵 五町 高さ 182Cm (寛永以前の作)

金剛界三十七尊

五仏(大日・阿閦・宝生・阿弥陀・不空成就)、四波羅密菩薩(金剛・宝・法・羯磨)、十六大菩薩 菩提心門(薩埵・王・愛・喜) 福徳門(宝・光・幢・咲)

知恵門(法・利・因・語) 精進門(業・護・牙・拳)、八供養菩薩 内四供養(嬉・鬘・歌・舞) 外四供養(香・華・燈・塗)、四攝菩薩(鉤・索・鏁・鈴)

金剛愛 七町 寛永十八年十月 日 高さ 124Cm 前幅 30Cm 横幅 25Cm

金剛喜 八町 高さ 100Cm(寛永以前の作) 金剛宝 九町 寛永十八年十月 日 高さ 129Cm

九町石と十町石の間に醍醐の花見の説明板が立っている

金剛光 十町 高さ 140Cm(寛永以前の作) 金剛幢 十一町 寛永十八年十月 日 高さ 97Cm

古い町石は寛永作の町石に比べ、正面の尊名がやや小さく、笠を載せる為に作った頂部の枘(突起)が大きい

金剛咲 十二町 高さ 100Cm(寛永以前の作) 金剛法 十三町 寛永十八年十月 日 高さ 134Cm

正面に刻まれた金剛界三十七尊の名称は、一町の金剛鉤(亡失)に始まり三十七町の大日如来に至っている

信者が山を登るごとに、諸尊の階梯が一町から順次上って大日如来に至る。信者は大いに功徳を感じ、信仰心を深めただろう

金剛利 十四町 高さ 170Cm(寛永以前の作) 金剛因 十五町 寛永十八年十月 日 高さ 167Cm

十五町石をすぎて十六町石の手前には不動滝がある

 上醍醐町石(かみだいごちょういし)笠塔婆 (2)             石仏と石塔-目次!

不動滝の上には石造不動明王が祀られている

(参考文献:「京都府史蹟名勝天然記念物調査報告書 第十八册」 臨川書店)

 笠塔婆(かさとうば)

*京都地下鉄「醍醐駅」下車、またはJR山科駅前・京阪山科駅前から京都バス「醍醐三宝院バス停」下車、徒歩

(撮影:平成21年1月20日)