引接寺の九重石塔

 引接寺(いんじょうじ)(京都市上京区千本通寺之内上る閻魔前町34)

 引接寺は小野 篁(たかむら)(802〜853)の開基となる寺院。本尊に閻魔法王を祀り「千本ゑんま堂」の名で親しまれている

引接寺 九重石塔の基礎と初層

基礎は、円形で側面に十四体の地蔵が刻まれている

引接寺 九重石塔(重要文化財、南北朝時代後期、至徳三年 1386年銘、花崗岩、高さ 約600Cm)

九重石塔は「紫式部供養石塔」と呼ばれ、至徳三年(1386)円阿の勧進により建立された。屋根は十層あるが、一番下の屋根は裳階(もこし)で九重石塔

ゑんま堂普賢象桜

咲いた時に双葉を持ち、花冠のまま落ちる珍しい桜で、斬首される囚人に似ていたため、中世の所司代は、この桜を獄舎の囚人に見せ、仏心を起こさせた伝わっている

南面、弥勒菩薩(蓮華を左手に持つ 東面、薬師如来(薬壷を持つ)
北面、釈迦如来(法界阿弥陀との説もある 西面、定印阿弥陀如来

初層軸部の四方仏:舟形に彫りくぼめ、蓮華座上に坐す顕教四仏を半肉彫りする。

南面に、「奉造立石塔、至徳三年(1386)丙寅八月二十二日」の紀年銘、 西面に「勧進聖円阿敬白」の名が刻まれている

裳階(もこし)屋根の上に胎蔵界四仏の種子を刻む

南面、鳥居の中に開敷華王(かいふけおう)の種子「アー」を刻む 東面、鳥居の中に宝幢(ほうとう)如来の種子「ア」を刻む
北面、蓮華の月輪の中に天鼓雷音の種子「アク」を刻む 西面、鳥居の中に無量寿の種子「アン」を刻む

引接寺 九重石塔、胎蔵界四仏の種子

引接寺(千本ゑんま堂)本堂

五月に行われる千本ゑんま堂大念佛狂言は、京都三大念佛狂言のうち唯一の有言劇で、京都市無形民俗文化財に指定されている

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九重石塔の周りで、紫式部塔を供養するかのように咲く、普賢象桜(ふげんぞうざくら)。古来、平安名木の一とされた。
   
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*京都市バス6・46・206・59系統「千本鞍馬口」下車すぐ

(撮影:平成19年4月28日)