かさのぎ稲荷神社 阿弥陀種子板碑

 かさのぎ稲荷神社(神奈川県横浜市神奈川区東神奈川2-9-1)

    三弁宝珠の阿弥陀種子「キリーク」の下、梵字の名号と長形五輪塔二基を刻んだ武蔵型板碑で鎌倉時代後期の造立と推定されている。

かさのぎ稲荷神社 阿弥陀種子板碑(市指定文化財、鎌倉時代後期、緑泥片岩、高さ 172.5Cm 下幅 41Cm)

身部は、上方に三弁宝珠を伴って荘厳体で阿弥陀種子を蓮座上に、下方は天蓋の下 梵字名号、その左右に長形五輪塔を刻む。

板碑 頭部

頭部 山形、下に二段の切込、身部は二重線の輪郭を巻く。

身部上方、蓮座上に「阿弥陀」の種子「キリーク」を刻む。 身部下方、中央に梵字で「南無阿弥陀仏」と刻む。

身部上方は、蓮座上に「阿弥陀如来」の種子「キリーク」を荘厳体で刻み、種子の頭部を三弁宝珠で荘厳する。

下方は、天蓋の下 中央に梵字で「南無阿弥陀仏」、その両脇に長形五輪塔を彫り、地輪から上に向かって各輪に「ア」・「バン」・「ラン」・「カン」・「ケン」・の大日法身真言を刻む。

六字名号:「ナ(南)・ム(無)・ア(阿)・ミ(弥)・ダ(陀)・ブツ(仏)」

天蓋(てんがい)

天蓋は、蕨手(わらびて)を左右にひろげた形状で瓔珞(ようらく)はない。

梵字名号と五輪塔型(二基) 阿弥陀種子と六字名号(梵字)を刻んだ複合板碑

阿弥陀種子と六字名号・五輪塔型を刻んだ同形の武蔵型板碑には、真名板(まないた)薬師堂 阿弥陀種子・名号複合板碑(建治元年 1275年)がある。

また、名号の代わりに不動曼荼羅を刻んだ同形の武蔵型板碑は、金子家(かねこけ)不動曼荼羅板碑(正安三年 1301年)二基が有名。

板碑 下方

身部、二重線の輪郭。

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(かさのぎ)稲荷神社

天恵年間(938~947)に稲荷山の中腹に創祀、元禄二年(1689)に山麓に移り、明治二年(1869)に現在地に遷座したという。

板碑は、稲荷山の麓にあったが明治初期に現在地に移された。

 板碑(いたび)

*京急「神奈川新町駅」下車すぐ。またはJR 「東神奈川駅」 下車、北東方向へ徒歩 約7分。

(撮影:平成26年10月4日)