最明寺(さいみょうじ)胎蔵界大日種子板碑

 最明寺(さいみょうじ)(岩手県一関市川崎町門崎字石蔵53)

  胎蔵界大日種子「アーンク」を主尊とする双式板碑の一基で、亡き両親の追善供養として造立された。もう一基に岩手県最古 建長八年(1256)の紀年銘がある。

最明寺(さいみょうじ)胎蔵界大日種子板碑 (県指定文化財、鎌倉時代中期、粘板岩、高さ 97Cm 幅 48Cm)

頭部山形、身部は一重線の輪郭を巻き、界線で上下二区とし、上区 蓮座上月輪内に胎蔵界大日種子「アーンク」、下区に願文を刻む。

境内の南端、覆屋内に安置されている。石材は、宮城県石巻市を主産地とする「井内石(稲井石)」(粘板岩)を使用する。

石塔婆 頭部

頭部山形、身部は一重線の輪郭を巻く。

身部 上区

蓮座上月輪内に胎蔵界大日如来の種子「アーンク」を薬研彫する。

身部 下区

中央に「右志者為父母二親也の造立趣旨を刻む。

刻銘:右志者為父母二親也 双式板碑の主尊が金胎両大日種子で表され、興味深い。

最明寺(さいみょうじ)双式板碑

向って右側の主尊は金剛界大日種子「バン」、左側は胎蔵界大日種子「アーンク」で、金胎両大日種子を表す。また、右側の板碑に

「建長八年(1256)丙辰、二月廿九日」の紀年銘、左側の板碑に「右志者為父母二親也」の造立趣旨を刻み、二基で一式の双式板碑とする。

最明寺(さいみょうじ)双式板碑

境内の南端、山裾に建つ小さな覆屋内に二基の板碑は安置されている。

 龍澤寺(りゅうたくじ)金剛界大日三尊種子石塔婆                石仏と石塔-目次!

最明寺(さいみょうじ)(天台宗)

平泉 藤原氏、葛西氏の崇敬を受けた古刹。

 板碑(いたび)

*JR 大船渡線「岩ノ下駅」下車、南方向へ徒歩 約17分。最明寺は、下車後、線路の西側(山側)の道を線路沿いに下っていくと、右手に建っているので分かりやすい。

(撮影:平成26年4月14日)