上北浦 金剛界曼荼羅種子石塔婆

 上北浦(かみきたうら)金剛界曼荼羅種子石塔婆(岩手県一関市花泉町花泉上北浦)

   金剛界曼荼羅 成身会(じょうしんえ)を種子で表現した石塔婆で、鎌倉時代後期 元応二年(1320)の紀年銘がある。

上北浦金剛界曼荼羅種子石塔婆 (市指定文化財、鎌倉時代後期 元応二年 1320年、高さ 158Cm 幅 97Cm)

上部は、金剛界曼荼羅成身会(じょうじんえ)の金剛界五仏と四供養菩薩を種子で表し、仏天蓋を下から覗いた形に表現する。

下方は、願文と鎌倉時代後期 「元応二年(1320)の紀年銘が刻まれている。

本石塔婆は、下部が近隣民家の氏神として崇敬されていたが、昭和52年の圃場(ほじょう)整備により上部の曼荼羅部も発見され、現位置に移転した。

金剛界曼荼羅 成身会(こんごうかいまんだら じょうじんえ)

下記表の通り、中央に金剛界大日如来、上下左右に金剛界四仏、その間に四供養菩薩の種子を刻む。

金剛舞(ぶ)菩薩の種子「キリタ」口口口 阿閦如来の種子「ウーン」 金剛嬉(き)菩薩の種子「コク」
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不空成就如来の種子「アク」       金剛界大日如来の種子「バン」        宝生如来の種子「タラーク」
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金剛歌(か)菩薩の種子「ギーク」 阿弥陀如来の種子「キリーク」 口口口金剛鬘(まん)菩薩の種子「タラタ」

金剛界曼荼羅 成身会

金剛界五仏(黄文字色)四供養菩薩(青文字色)

曼荼羅では、通常上方が西にあたるが、ここでは東になっている。

石塔婆下部

曼荼羅部の最外部に二重円の大月輪、それを蓮実のついた蓮座で荘厳する。

刻銘は、左右に「志為逆修」、「・・・・・・・・・・・」、中央に「應永二年(1320)、大才 庚申、卯月中旬」と刻まれている。

刻銘:「應永二年(1320)、大才 庚申、卯月中旬」 刻銘:「志為逆修」

上北浦(かみきたうら)金剛界曼荼羅種子石塔婆 (市指定文化財、鎌倉時代後期)

石塔婆は下方の刻銘により、自分の生存中に自分の為、死後の法要を営む「逆修供養」として造立されたことがわかる。

上北浦(かみきたうら)金剛界曼荼羅種子石塔婆 側面

 王壇(おうだん)阿弥陀種子石塔婆                        石仏と石塔-目次!

覆屋内に安置されている石塔婆

 板碑(いたび)

*JR 東北本線 「花泉駅」下車、北西方向へ徒歩 約16分。村落から少し離れた場所にあり、案内板もない。

(撮影:平成26年4月14日)