常住院(じょうじゅういん)山王堂 石造宝塔

 常住院山王堂(じょうじゅういんさんのうどう)(岩手県西磐井郡平泉町平泉字衣関102)

   基礎・相輪を欠き、笠と塔身を残す宝塔で、平安時代後期の作品と推定されている。

常住院 山王堂(じょうじゅういんさんのうどう)石造宝塔 (平安時代後期、凝灰岩、高さ 130.2Cm)

相輪部は別物で、後世の小五輪塔 火輪 他が載っている。
常住院山王堂の向って右側(北側)境内に立っている。 塔身頂部は、背の低い首部を作り出し、首部の側面は無地。

屋根の露盤から塔身に納入物を納める空洞があり、相輪部は蓋(ふた)の役割をしたと推測されている。

勾配は緩く、頂部に露盤、軒下に厚い垂木型を作り出す。

露盤から笠下まで枘穴が貫通し、塔身内部の空洞へと続いている。

塔身南東面、愛染明王の種子「ウーン」を薬研彫する。 塔身北東面、一字金輪「ボローン」と思われる種子が刻まれている。

塔身は背の低い壺型で、四方に種子が薬研彫されている。また、一山の徒弟剃髪得度の際、この塔中に髪を納めるのが習わしになっているという。

常住院 山王堂 石造宝塔 南面(平安時代後期)

南面にも梵字らしきものが見える。

塔身北西面、金剛界大日如来の種子「バン」を薬研彫する。 塔身南西面、摩耗が激しく、種子が刻まれていたと思われるが不明。

笠、垂木型 裏面

垂木型の裏面は、判読可能な種子により、各辺中央に金剛界曼荼羅成身会の四摂(ししょう)菩薩

の種子、四隅に同じく金剛界曼荼羅成身会の外四供養菩薩の種子が刻まれていると推定されている。

垂木型 裏面、隅の梵字

四隅の梵字は、外四供養菩薩の種子と考えられている。

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常住院 山王堂

常住院は、中尊寺の子院。

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*JR東北本線「平泉駅」下車、徒歩。または平泉町巡回バスに乗車 「中尊寺バス停下車」、西方向へ徒歩 約1.1Km。平泉駅前でレンタサイクルも利用できる。

(撮影:平成25年10月12日)