湯地蔵石仏龕（ゆじぞうせきぶつがん）（茨城県つくば市小田）

　　この辺り一帯は、大和西大寺の僧 忍性（にんしょう）が来住した三村山清冷院極楽寺の跡地にあたる。本石仏も極楽寺関係の遺物にあたる。

湯地蔵石仏龕 （県指定文化財、鎌倉時代後期 正応二年 1289年、花崗岩、高さ 220Cｍ)

三枚の長方形の花崗岩をコの字に立て、奥石に蓮華座に立つ地蔵菩薩を厚肉彫りし、上に屋根を載せ石仏龕を作る

地蔵のお顔は、縦長で額に白毫のあとがあり、お顔の背後に円形頭光を薄肉彫りする

お顔の部分は、やや瓢箪形をし、耳は長い。右手に錫杖、左手に宝珠を持つ。俗に「湯地蔵」と呼ばれ、安産と乳の出が良いように祈られている

石仏龕 頂部

屋根は薄く、中心に露盤をつくり相輪を載せるが、相輪は下部を残し欠失する

刻銘：「正応二年己丑十一月十日造立　勧進仏子阿浄」」		刻銘：「右為法界衆生平等利益也 檀那左衛門尉」

像の両脇に上の銘文が刻まれている。忍性は建長四年（1252）から弘長元年（1261）の十年間極楽寺に止住した。石仏は、正応二年（1289）の造立で、

忍性が去って二十八年後に造られている。銘文の「左衛門尉」は小田氏の四代時知か、五代宗知と推定され、「阿浄」は、西大寺有恩過去帳にその名が見えるという。

　極楽寺（ごくらくじ）奥の院跡 五輪塔　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　石仏と石塔-目次！

湯地蔵 石仏龕

奥に見える道は、宝篋山へのハイキングコース（極楽寺コース）になっていて道も整備されている

　石　　仏-紀年順-目次

＊JR土浦駅前から関東鉄道バス 筑波山口行きに乗車、「小田十字路バス停」下車 、宝篋山ハイキングコースの極楽寺コースを歩くとしばらくしたら、道の右側に立っている。

(撮影：平成22年4月5日）