浅野(あざの)宝篋印塔

 浅野(あざの)(兵庫県養父市浅野436)

  無名だが基礎正面に近江文様の「宝瓶三茎蓮」を刻む大型宝篋印塔で、南北朝時代の作品と見られている。

浅野(あざの)宝篋印塔 (旧養父町指定文化財、南北朝時代、花崗岩、高さ 約212Cm)

新補の塔身、金剛界四仏の種子を刻む(南面、タラーク:宝生如来)
宝篋印塔は、大屋川に架かる浅野橋の北東側に立っている。 新補の塔身、金剛界四仏の種子を刻む(西面、キリーク:阿弥陀如来)

隣接の五輪塔と一つの塔として積まれていたが、平成十一年(1999) 分離の上、塔身と相輪の一部を新しく補い整備された。

段型は、上六段、下二段。隅飾りは二弧輪郭付で、内の月輪内に梵字を刻み、やや外傾する。

新補の塔身、金剛界四仏の種子を刻む(北面、アク:不空成就如来)
新補の塔身、金剛界四仏の種子を刻む(東面、ウーン:阿閦如来) 宝篋印塔は、その特徴から南北朝時代の作品と見られている。

基礎 正面(南面)

上端二段、側面は輪郭を巻き、格狭間内に近江文様の宝瓶三茎蓮を刻む。(正面)

基礎 西・南面

正面と背面を除く二面は、側面に通常の格狭間をつくり、内は無地。

相輪は、下から伏鉢、複弁請花、九輪で、九輪は九輪目を欠損、その上の請花・宝珠は、新しく補い整備されている。

基礎 背面(北面)

背面は無地で、刻銘は不明。

台 座 ・ 基 壇

台座は上端が複弁反花、上に方形座を設ける。基壇は二段で、切石からなる。

 浅野(あざの)五輪塔                             石仏と石塔-目次!

五輪塔(延文五年 1360年在銘)と並んで立つ宝篋印塔

この石塔は、「七日めぐり」の井垣甚十郎の霊を祀ったものという伝承が残っている。

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*JR山陰本線 八鹿駅前から全但バス 八鹿-大谷-明延線に乗車、「浅野バス停」下車 すぐ。浅野橋の北側から東へすぐ。民家の間に立っている。

(撮影:平成25年8月27日)