畑ノ辻(はたのつじ)宝篋印塔

 畑ノ辻(はたのつじ)宝篋印塔(兵庫県神戸市北区山田町原野字畑の辻2-1)

  ここから約2Km西にある「清光寺宝篋印塔」とほぼ同寸で、塔身の四仏が金剛界から胎蔵界になっているのみで、荘厳の仕方もほぼ同じ。同年代の作品と推定される。

畑ノ辻宝篋印塔(市指定文化財、南北朝時代中期 康安元年 1361年、花崗岩、高さ 218Cm)

塔身、蓮華座上月輪内に胎蔵界四仏の種子刻む(北面、アク:天鼓雷音)
宝篋印塔は、大滝地蔵尊の東側敷地に立っている 塔身、蓮華座上月輪内に胎蔵界四仏の種子刻む(東面、ア:宝幢)

笠の段型は、下二段、上六段、隅飾は二弧輪郭つきで、内は陽刻の月輪内に八面とも梵字「ア」を陰刻する

塔身、蓮華座上月輪内に胎蔵界四仏の種子刻む(南面、アー:開敷華王)
西面は通常、無量寿の種子「アン」だが、阿弥陀の種子「キリーク」を刻む 基礎の近江文様や隅飾りの月輪など、美しく整っている

塔身西面の阿弥陀は、無量寿が阿弥陀の名号(名前、名称、尊称)の一つであるから、「アン」が「キリーク」になっている。

基礎 東・南面

基礎上端は複弁反花、西面を除く三面は輪郭を巻き、内に格狭間をつくり 開蓮華を陽刻する

相輪は、下から伏鉢・請花・九輪・請花・宝珠。石塔に、康安元年(1361)の紀年銘があるとのことだが、摩耗して判別がつかない

ここは、西国街道の裏道にあたり、有馬温泉への道でもあったことから、湯乃山街道の南路として栄えた

基礎 西面

西面の側面は、輪郭を巻き、内に格狭間をつくり 宝瓶三茎蓮文様を陽刻する。向かって右側の束に紀年銘があるという

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大滝地蔵尊

宝篋印塔の西側敷地に、大滝地蔵尊があり、ここを目印にすると分かりやすい

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*神戸電鉄 箕谷駅前から神戸市営バス 衝原(つくはら)行きに乗車、「大滝口バス停」下車、南東方向へ 約200m。

(撮影:平成22年5月27日)