鍛冶(かじ)宝篋印塔(兵庫県赤穂郡上郡町岩木甲601)
通称「セキドさん」と呼ばれている貴重な在銘宝篋印塔で、南北朝時代末期 明徳元年(1390)の紀年銘がある。
鍛冶(かじ)宝篋印塔 (県指定文化財、南北朝時代後期 明徳元年 1390年、花崗岩、高さ 108Cm)
塔身正面、月輪内に金剛界四仏の種子を刻む(タラーク:宝生如来) | ||
智頭急行線北側のトンネルの手前、土塀に囲まれて立っている。 | 塔身西面、月輪内に金剛界四仏の種子を刻む(キリーク:阿弥陀如来) |
宝篋印塔は、切石の基壇上に複弁反花座を置き、その上に立つ。塔身は四面に金剛界四仏種子、基礎二面に刻銘がある。相輪の一部を欠損するが、それ以外は完存する。
笠
段型は、下二段、上六段。隅飾(すみかざり)は、二弧輪郭付で内は無地。
塔身北面、月輪内に金剛界四仏を刻む(アク:不空成就如来) | ||
塔身東面、月輪内に金剛界四仏の種子を刻む(ウーン:阿閦如来) | 基礎・台座の上端、複弁反花は上で強くふくれる南北朝時代の様式 |
基礎 正面
上端は複弁反花、側面は四面とも輪郭を巻き内に格狭間をつくる。格狭間内は、無地。
正面、向って右に「播磨国赤松」、左に「上村一結衆」の銘文がある。
相輪は下から、伏鉢、請花、九輪で、九輪は六輪を残し、その上に九輪の最上部・請花を逆方向に接続、先端の宝珠は欠いている。 |
宝篋印塔は、智頭線建設の為、もとの位置からやや西側に移設されたという。
基礎 西面
西面の束、向って右に「明徳元年(1390)」、左に「庚午、六月日 敬白」の紀年銘がある。
宝篋印塔は、播磨国 赤松上村(あかまつかみむら)の何人かが結集して、明徳元年(1390)六月に造立した。
反花座
上端は、複弁反花。
鍛冶(かじ)宝篋印塔 (県指定文化財、南北朝時代後期)
智頭急行線北側のトンネルの手前、土塀に囲まれて立っている。
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*JR山陽本線「上郡駅」下車、北北西方向へ約3.7Km。上郡駅方面から県道451号線に出て智頭急行の線路下三差路を北東側に少し行くと線路沿いに鍛冶宝篋印塔の説明板が立っている。説明板の横、線路をくぐり右折、線路沿いに進むと智頭線のトンネルの手前、土塀に囲まれて立っている。バス便は不便な為、駅前の上郡観光案内所にあるレンタサイクル(料金無料、但し寸志要)を利用するのが便利。
(撮影:平成25年7月2日)