仏性寺(ぶっしょうじ)石造多宝塔

 仏性寺(ぶっしょうじ)(福井県丹生郡越前町小倉)

仏性寺石造多宝塔(町指定文化財、室町時代後期 弘治三年 1557年、凝灰岩、高さ 288Cm)

上層屋根の頂部に、別石で二区格狭間入りの露盤をつくる
多宝塔は、門前の向かって左側に立っている 初層屋根上に、一石で亀腹・高欄をおき、上部に柱を刻んだ軸部をつくる

初層軸部 正面

初層軸部正面に、釈迦・多宝の二仏並座坐像を半肉彫りし、中央に蓮華座上に「南無妙法蓮華経」の題目を刻む

向かって右が多宝如来、左が釈迦如来で、蓮華座や衣文が丁寧に彫られている

初層屋根は、わずかに照りむくり(曲面で上方が起こり、下方が下反り)がある
初層軸部背面は、長押(なげし)や柱のみ表現され、中央部は無地 石材は笏谷石で、台石から下の部分は平成元年に造られた

初層軸部 東面

中央に四行にわたり「起塔之願不意而、順慶帰本矣今到、三回之忌辰充其、願斂其霊者也」の銘文が刻まれている

木造多宝塔に擬して刻まれた石造多宝塔で、ほぼ完存する。相輪部は、下から請花・九輪・請花・宝珠で、通常最下部にある伏鉢がない

初層軸部 西面

中央に三行、「弘治三(1557)甲辰、孝蔵坊順慶、四月二十一日」の銘文が刻まれている

弘治三年(1557)は、干支が丁巳で銘文の甲辰と合致していない

上層屋根、軒裏に垂木型、中心部に軸部を受ける円座を設ける 初層屋根、裏に二段の垂木型を刻出する

基  礎

基礎上端は一段、側面は四面とも三区に分け 内は無地

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仏  性  寺

石塔は、仏性寺が正徳年間(江戸時代中期・1711〜1715)に、香が谷から当地に移転したときに移されたという

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*福井駅前から京福バス 織田線 織田行きに乗車42分、「小倉バス停」下車 西方向へ 約500m。

(撮影:平成21年11月24日)