葵八幡(あおいはちまん)(群馬県藤岡市本郷字道中郷2369-1)
葵八幡の両側に立つ板碑の一基で、来迎阿弥陀如来を刻んでいる。紀年銘はないが、もう一基と同じ鎌倉時代後期の作。
葵(あおい)八幡 阿弥陀図像板碑(市指定文化財、鎌倉時代後期 、緑泥片岩、高さ 150Cm 幅 40Cm 厚さ6.5Cm)
身部は輪郭がなく、上方に頭光を負い蓮華座に立つ来迎阿弥陀如来を、下方に無量寿経と観無量寿経に出る偈(げ)を各一つ刻む。 |
葵八幡には、小さな社殿の両側に一対の板碑が立っており、本板碑の反対側には阿弥陀三尊種字を刻んだ応長元年(1311)銘板碑が立っている。
板碑 頭部
頭部 山形、下に二段の切込、身部の輪郭はない。
身部上方、阿弥陀の頭光から十一本の放射光がでている。 | 身部下方、無量寿経と観無量寿経に出る偈(げ) |
下方の刻銘は摩耗の為 肉眼ではほとんど読めないが、向って右から「其佛本願力 聞名欲往生、皆悉到彼国 自致不退転」(無量寿経)
続いて二行「光明遍照 十方世界、念佛衆生 摂取不捨」(観無量寿経)の偈(げ)が刻まれている。
身部下方の刻銘 (偈)
無量寿経に出る偈(げ):「其仏本願力(ごぶつほんがんりき)、聞名欲往生(もんみょうよくおうじょう)、皆悉到彼国(かいしつとうひこく)、自致不退転(じちふたいてん)」
[ その仏(阿弥陀如来)の本願力により、名を聞いて往生せんと欲すれば、皆ことごとく彼の国(極楽)に到りて、おのずから不退転に致らん。 ]
観無量寿経に出る偈(げ):「光明遍照(こうみょうへんじょう)十方世界(じっぽうせかい)、念仏衆生(ねんぶつしゅじょう)摂取不捨(せっしゅふしゃ)」
[ 光明はあまねく十方世界を照らし、念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず。]
身部、阿弥陀如来の頭部 | 板碑、側背面 |
本板碑の反対側に立つ板碑 (本板碑と一対で、同時期のものと推定されている)
阿弥陀三尊種子板碑(市指定文化財、鎌倉時代後期 応長元年 1311年、緑泥片岩、高さ 166Cm 幅 41Cm 厚さ 4.5Cm)
葵八幡(あおいはちまん)
小さな社殿の両側に一対の板碑が立っている。向って右が阿弥陀三尊種字板碑、左が阿弥陀図像板碑。
*JR八高線 群馬藤岡駅前から日本中央バス 鬼石方面行き に乗車、「別所バス停」下車、東南東方向に徒歩 約13分。美九里東小学校の南側道路を東方向に歩き、最初の十字路の北東角にある小さな社が葵八幡。
(撮影:平成28年10月15日)