関 延文五年銘 阿弥陀種子自然石塔婆

 関(せき)の古碑群(青森県西津軽郡深浦町関字栃沢)(No:11-41、後列、右から2基目)

  阿弥陀種子を主尊とする石塔婆で追善供養として造立された。延文五年(1360)の紀年銘がある。

関 阿弥陀種子自然石塔婆(県指定史跡、南北朝時代中期 延文五年 1360年、安山岩、高さ 56Cm 幅 36Cm)

追善供養として造立された石塔婆で、表面 上方の月輪内に阿弥陀如来の種子「キリーク」、下方に願文と紀年銘を刻む。

石塔婆 上部

月輪内に阿弥陀如来の種子「キリーク」を刻む。

尚、当石塔婆群42基中、紀年銘のある阿弥陀一尊はこの一基のみで、紀年銘のないものが5基ある。

石塔婆 下部

五行で、願文と紀年銘を刻む。

刻銘:「右、口口慈父口、口十三年忌、辰相当奉口、延文五(1360)

十三年忌か三十三年忌に造立された石塔婆。

尚、十三仏信仰における十三回忌に割り当てられた仏菩薩は「大日如来」で、三十三回忌は「虚空蔵菩薩」、「阿弥陀如来」は三回忌。

刻銘:延文五(1360) 刻銘:「十三年忌」

関 貞治三年銘 金剛界大日種子自然石塔婆

 関(せき)の古碑群(青森県西津軽郡深浦町関字栃沢)(No:11-33 後列、右から10基目)

  百ヶ日追善供養の為造立された石塔婆で、金剛界大日種子「バーンク」(五点具足)を刻む。貞治三年(1364)の紀年銘がある。

関 金剛界大日種子自然石塔婆(県指定史跡、南北朝時代中期 貞治三年 1364年、安山岩、高さ 56Cm 幅 45Cm)

自然石を加工せずそのまま利用、表面上方 二重月輪内に金剛界大日如来の種子「バーンク」(五点具足)、下方に願文と紀年銘を刻む。

石塔婆 上部

二重月輪内に金剛界大日如来の種子「バーンク」(五点具足)を大きく刻む。

「バーンク」は、発心(命点)・修行・菩提(空点)・涅槃・方便究竟の五点を備えた形。

石塔婆 下部

四行の罫線が引かれ、願文と紀年銘を刻んでいる。

刻銘:「右造立石塔、奉趣者過去、義円百ヶ日為、貞治三年(1364)三月 日

貞治三年三月 義円の百ヶ日追善供養に造立された。

尚、十三仏信仰での百ヶ日忌に割り当てられた仏菩薩は「観音菩薩」。

刻銘:貞治三年(1364)三月 日」 刻銘:「義円百ヶ日為」

関(せき)の古碑群(自然石塔婆群)部分 (県指定史跡、南北朝時代前期~室町時代前期)

写真、後列の向って右から2基目が阿弥陀種子石塔婆(No:11-41)。

関(せき)の古碑群(自然石塔婆群)現地説明板 (前列18基、後列24基、Noがついている)

 関(せき)貞治三年銘 金剛界大日種子自然石塔婆                 石仏と石塔-目次!

甕杉(かめすぎ)(県指定天然記念物、樹齢 約1000年、高さ 約35m 幹まわり 最大 7m)

甕杉(かめすぎ)のそば、覆屋内に42基の石塔婆が安置されている。

 板碑(いたび)

*JR五能線 「北金ヶ沢駅」下車、東南東方向へ 徒歩 約18分。

(撮影:平成25年10月15日)