関(せき)貞和三年銘 阿弥陀三尊種子自然石塔婆

 関(せき)の古碑群(青森県西津軽郡深浦町関字栃沢)(No:11-6、前列、左から6基目)

  百ヶ日追善供養に造立されたと思われる石塔婆で、貞和三年(1347)の紀年銘を持つ。阿弥陀三尊種子を主尊とする。

関 阿弥陀三尊種子自然石塔婆(県指定史跡、南北朝時代前期 貞和三年 1347年、安山岩、高さ 101Cm 幅 58.5Cm)

百ヶ日追善供養に造立されたと思われる石塔婆で、駒形(五角形)枠線内、上方に阿弥陀三尊種子、下方に願文と紀年銘を刻む。

石塔婆 上部

駒形の枠線内に阿弥陀三尊種子を刻む。

三尊種子は、上方に阿弥陀如来の種子「キリーク」、向って右下に観音菩薩の種子「サ」、左下に勢至菩薩の種子「サク」を刻む。

石塔婆 下部

四行の罫線内に願文と紀年銘を刻む。

刻銘:「右幽儀一百ヶ日口口、景故也空趣送安泰、浄刹求四生会識也、貞和三年(1347)南侶(八月)下旬、敬白

冒頭に幽儀一百ヶ日とあり、百ヶ日追善供養に造立されたと思われる。尚、十三仏信仰の百ヶ日忌に割り当てられた仏菩薩は「観音菩薩」。

刻銘:「貞和二年(1346)南侶下旬 刻銘:「右幽儀一百ヶ日」

関(せき)文和四年銘 種子自然石塔婆

 関(せき)の古碑群(青森県西津軽郡深浦町関字栃沢)(No:11-5、前列、左から5基目)

  石塔婆の右側を斜めに欠損する。本石塔婆群中、初めて蓮座で荘厳した石塔婆で、文和四年(1355)の紀年銘がある。

関 一尊種子自然石塔婆(県指定史跡、南北朝時代前期 文和四年 1355年、安山岩、高さ 88Cm 幅 49.5Cm)

石塔婆の右側を斜めに欠損。自然石を加工せずそのまま利用し、上方蓮座上月輪内に種子(尊名不明)、下方に願文と紀年銘を刻む。

石塔婆 上部

蓮座上月輪内に種子(尊名は不明)を大きく刻む。

蓮座で荘厳した石塔婆は、この石塔婆群では初出。

石塔婆 下部

四行の刻銘があり、一行目は不明。願文と紀年銘を刻んでいる。

刻銘:「・・・・・・・、口尊儀成道正覚、乃至法界平等故、文和四(1355)八月時正(彼岸の中日)敬白」

関(せき)の古碑群(自然石塔婆群) (県指定史跡、南北朝時代前期~室町時代前期)

写真、前列の向って右から二基目が貞和三年銘石塔婆(No:11-6)、三基目が文和四年銘石塔婆(No:11-5)。

関(せき)の古碑群(自然石塔婆群)現地説明板 (前列18基、後列24基、Noがついている)

 関(せき)延文五年銘 胎蔵界大日種子自然石塔婆               石仏と石塔-目次!

関の甕杉(かめすぎ)(県指定天然記念物、樹齢 約1000年、高さ 約35m 幹まわり 最大 7m)

甕杉(かめすぎ)のそば、覆屋内に42基の石塔婆が安置されている。

 板碑(いたび)

*JR五能線 「北金ヶ沢駅」下車、東南東方向へ 徒歩 約18分。

(撮影:平成25年10月15日)