関(せき)の古碑群(青森県西津軽郡深浦町関字栃沢)(No:11-15、後列、右から4基目)
貞和二年(1346)の紀年銘を持つ石塔婆は四基を数えるが、その中で一番古い石塔婆。種子「アン」を主尊とする。
関(せき)一尊種子自然石塔婆(県指定史跡、南北朝時代前期 貞和二年 1346年、安山岩、高さ 86.5Cm 幅 49Cm)
表面に駒形(五角形)の枠線、上方に種子「アン」、下方に刻銘、その間に郭線を入れる。刻銘は、願文と「貞和二年」の紀年銘を刻む。 |
石塔婆は、頭部を山形に似せ、両側面を荒く成形する。
石塔婆 上部
駒形の枠線内に種子「アン」を大きく刻む。
「アン」は通常、密教系の「阿弥陀如来(胎)」・「普賢菩薩(胎)」として知られ、「大日如来(胎)」種子として使われる場合もある。
石塔婆 下部
四行の刻銘があり、願文と紀年銘を刻む。
刻銘:「良以逆修者如何口念、得是用瀬頓證菩薩之、根源也自他法界同利益、貞和二年(1346)丙戌、七月日敬白」
関(せき)の古碑群(青森県西津軽郡深浦町関字栃沢)(No:11-3、前列、左から3基目)
上記石塔婆と同形式で同種子、また同年(貞和二年)の紀年銘を持つ。銘文に「十三年」の文字が見られ、十三回忌の追善供養として造立されたものと思われる。
関(せき)一尊種子自然石塔婆(県指定史跡、南北朝時代前期 貞和二年 1346年、安山岩、高さ 65Cm 幅 48Cm)
上記、貞和二年銘と同じ形式の石塔婆で、上方に種子「アン」、下方に願文と紀年銘(貞和二年)を刻む。十三回忌の追善供養碑と思われる。 |
石塔婆 上部
駒形の枠線内に種子「アン」を大きく刻む。
下方の刻銘に「十三年」の文字があり、種子「アン」は十三仏信仰の十三回忌に割り当てられた仏菩薩の「大日如来」を表しているのかもしれない。
石塔婆 下部
刻銘:「右作善者朗巻、為十三年追考、有頂無間平等、貞和二(1346)丙戌、南呂(八月)時正(彼岸の中日)、敬白」
朗巻の十三回忌供養として、貞和二年(1346)秋 彼岸の中日に本石塔婆を造立したものと思われる。
刻銘:「貞和二(1346)丙戌、南呂(八月)」 | この石塔婆群で、五番目に古い貞和二年(1346)八月の紀年銘を持つ。 |
関(せき)の古碑群(自然石塔婆群) (県指定史跡、南北朝時代前期~室町時代前期、安山岩、高さ 39.5~107.5Cm)
写真、前列の向って左から三基目が貞和二年八月銘石塔婆(No:11-3)。
関(せき)の古碑群(自然石塔婆群)現地説明板 (前列18基、後列24基、Noがついている)
甕杉(かめすぎ)(県指定天然記念物、樹齢 約1000年、高さ 約35m 幹まわり 最大 7m)
甕杉(かめすぎ)のそば、覆屋内に42基の石塔婆が安置されている。
*JR五能線 「北金ヶ沢駅」下車、東南東方向へ 徒歩 約18分。
(撮影:平成25年10月15日)