神明宮(しんめいぐう)[青森県弘前市大字三世寺(さんぜじ)字色吉(いろよし)39]
三十五日(五七日忌)追善供養として造立された石塔婆で、本石塔婆群のなかで一番古い元応二年(1320)の紀年銘がある。
三世寺 金剛界大日種子自然石塔婆(市指定文化財、鎌倉時代後期 元応二年 1320年、安山岩、高さ 139Cm 幅 69Cm)
神明宮境内、左側の覆屋、左から二基目。石面上方に金剛界大日如来の種子「バン」、下方に造立趣旨と紀年銘を刻む。 |
「陸奥古碑集」(中村良之進 著、陸奥史談会事務所 発行)によれば、本石塔婆は「神明宮の南方十間(約18m)余を隔てし字 月見野の田の中より」とある。
石塔婆 上部
月輪なしに金剛界大日の種子「バン」を大きく刻む。
石塔婆 下部
三行で願文と紀年銘を刻んでいる。
刻銘:「尼父、三十五日、元(元応)二(1320)、庚申」
三十五日(五七日忌)の追善供養として元応二年(1320)に造立された。
刻銘:「元(元応)二(1320)、庚申」 | 刻銘:「尼父、三十五日」 |
神明宮(しんめいぐう)[青森県弘前市大字三世寺(さんぜじ)字色吉(いろよし)39]
金剛界大日種子を主尊とする石塔婆で、南北朝時代 文和五年(1356)の紀年銘がある。同所にある、同年同月日の石塔婆と双式。
三世寺 金剛界大日種子自然石塔婆(市指定文化財、鎌倉時代後期 文和五年 1356年、安山岩、高さ 89Cm 幅 54Cm)
現地説明板(部分) | 風化・摩耗の為、刻銘はほとんど読めない。 |
左側の覆屋内、左から三基目(中央)。石面上方、二重月輪内に金剛界大日種子「バン」、下方に法華経比喩品に出る偈を含む願文と紀年銘を刻む。
石塔婆 上部
二重月輪内に金剛界大日如来の種子「バン」を大きく刻む。
石塔婆 下部
中央に「文和五年(1356)、丙申、四月十五日、永口律師、口口口也」、左右に「法華経 比喩品」に出る偈(げ)を刻む。
偈(げ):「今此三界(こんしさんがい)皆是我有(かいぜがう)其中衆生(ごちゅうしゅじょう)悉是吾子(しつぜごし)」
[ 今、この三界(欲界・色界・無色界)はみなこれ我が有するところ、その中の衆生はことごとく我が子なり ]
尚、文和五年は三月二十七日迄で、四月十五日は延文元年になる。
南側(左側)の石塔婆群
左端と一基おいて三基目(中央)の石塔婆が同年同月日銘で双式。左から二基目が元応二年(1320)銘石塔婆。
付近の田畑に散在していた石塔婆も含まれている。
*JR 弘前駅前から弘南バス 弘前~十腰内・板柳・笹館線(三世寺経由)に乗車、「三世寺バス停」下車、西方向へ約700m。
(撮影:平成25年10月13日)