神明宮(しんめいぐう)[青森県弘前市大字三世寺(さんぜじ)字色吉(いろよし)39]
金剛界大日種子を主尊とする石塔婆で、南北朝時代 文和五年(1356)の紀年銘がある。同所にある、同年同月日の石塔婆と双式。
三世寺 金剛界大日種子板碑(市指定文化財、南北朝時代 文和五年 1356年、安山岩、高さ 90Cm 幅 60Cm)
神明宮境内、向って左側の覆屋、左端に安置。石面上方、二重月輪内に金剛界大日種子「バン」、下方に造立趣旨と紀年銘を刻む。 |
石塔婆 上部
二重月輪内に金剛界大日如来の種子「バン」を大きく刻む。
石塔婆 下部
四行で、法華経 薬草喩品に出る偈(げ)を含む願文と紀年銘を刻んでいる。
刻銘:「右志者為妙光比丘尼、逆修善根也依之現世、安穏後生善処乃至平等、利益 文和五年(1356)四月十五日」
妙光比丘尼の逆修供養として文和五年(1356)四月十五日に造立された。尚、覆屋内にある同年同月日銘の金剛界大日種子石塔婆と双式と思われる。
偈(げ):「現世安穏(げんぜあんのん)、後生善処(ごしょうぜんしょ)」 [ 現世は安穏にして、後には弥陀の浄土に生ぜんことを ]
尚、文和五年は三月二十七日迄で、四月十五日は延文元年になる。
向って左側二行の刻銘 | 銘:「右志者為妙光比丘尼、逆修善根也依之現世」 |
向って右側二行の刻銘:「右志者為妙光比丘尼、逆修善根也依之現世」
左側二行の刻銘:「安穏後生善処乃至平等、利益 文和五年(1356)四月十五日」
現地説明板(部分) | 文和五年(1356)四月十五日銘の双式石塔婆 |
南側(左側)の石塔婆群
向って左から三基が中世の石塔婆群で、右二基は江戸時代の庚申塔。
左端と一基おいて三基目(中央)の石塔婆が同年同月日銘で双式。
三世寺(さんせじ) 金剛界大日種子自然石塔婆 石仏と石塔-目次!
神明宮(しんめいぐう)
往時、この地は天台宗 三世寺が館を構えており、神明宮は、その館跡にある。
一帯は鎌倉時代、鼻和郡尻引郷(はなわのこおりしりひきごう)と呼ばれ藤崎安藤氏の領地であった。
*JR 弘前駅前から弘南バス 弘前~十腰内・板柳・笹館線(三世寺経由)に乗車、「三世寺バス停」下車、西方向へ約700m。
(撮影:平成25年10月13日)