阿弥陀寺(あみだじ)二尊種子板碑(1)

 阿弥陀寺(あみだじ)(和歌山県有田市星尾329)

   金剛界大日と阿弥陀の種子を主尊とする二尊板碑で、南朝年号 文中二年(1373)の紀年銘がある。

阿弥陀寺(あみだじ)二尊種子板碑(市指定文化財、南北朝時代 文中二年 1373年、砂岩、総高 134Cm)
-
板碑は本堂前の墓地、南側奥に立つ。上方に金剛界大日種子「バン」・阿弥陀種子「キリーク」の二尊、下方に光明真言と銘文を刻む。

板碑 頭部

頭部山形は蓮弁様に尖り、下に二条線、幅の広い額部は薄く突出する。

主尊は、上に金剛界大日如来の種子「バン」、下に阿弥陀如来の種子「キリーク」を深く刻んでいる。

二尊種子(「バン」・「キリーク」)

金剛界大日種子「バン」の一部が額部に刻まれている。金剛界大日と阿弥陀の二尊を本尊とするが、この組合わせは、ありそうで例が少ない。

身部下方の刻銘、上方に光明真言、下方に紀年銘。 刻銘上方、「梵字光明真言」を三行で刻む。

光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ、シャ、ナ」 「マ、カー、ボ、ダラ、マ、ニ、ハン、ドマ」 「ジンバ、ラ、ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン」

身部下方の刻銘

刻銘は、中央に「文中二年(1373)、向って右に「三月廿一日」、左に「施主口口」と刻む。

阿弥陀寺(あみだじ)板碑群(市指定文化財、南北朝時代、砂岩、総高 134~140Cm)

墓地の南端に南朝銘 文中二年銘(二基)・文中四年銘(二基)の板碑が立っている。

本板碑は、向って右から二基目。

 阿弥陀寺(あみだじ)二尊種子板碑(2)                      石仏と石塔-目次!

阿弥陀寺(あみだじ)(浄土宗)

阿弥陀寺は、ここから東方の良徳谷 阿弥陀浦にあったが、江戸時代中期 元禄二年(1689)、現在地に移したと伝える。

 板碑(いたび)

*JR紀勢線「紀伊宮原駅」下車、南西方向へ 約2.5Km。

(撮影:平成25年7月9日)