来迎寺(らいこうじ)阿弥陀三尊図像板碑

 来迎寺(らいこうじ)(千葉県香取市貝塚2005)

  来迎阿弥陀三尊を刻んだ図像板碑で、図像を刻む下総板碑としては早期のもの。鎌倉時代後期 嘉元四年(1306)の紀年銘がある。

来迎寺(らいこうじ)阿弥陀三尊図像板碑 (鎌倉時代後期 嘉元四年 1306年、黒雲母片岩、高さ 112Cm 幅 48Cm)

本堂の向って右手、境内に立っている。身部は輪郭を巻き、中央に来迎阿弥陀三尊を図像で、下方に願文、紀年銘を刻む。

板碑は、向って右側の中央から下部に欠けて深く剥落しているのは当初からで、下方の剥落面に観音像が刻まれている。

板碑 頭部

頭部は損傷し、山形であったと思われる。下に二条線、身部は一重線の輪郭を巻く。

身部中央、来迎阿弥陀三尊

中央に阿弥陀如来、向って右下に蓮台をさし出す観音菩薩、左下に合掌する観音菩薩、中尊は蓮台に脇侍は踏割り蓮座上に立つ。

三尊とも頭光を負い、主尊の阿弥陀は一光二条の放射光を表現する。三尊は向って右下に来迎する形式をとっている。

勢至菩薩、頭光を負い合掌する。 中尊 阿弥陀如来、一光二条の放射光が右下に長くのびている。

身部下方の刻銘

向って右から「右志者為、大龍尊霊、往生極楽、嘉元四年(1306)、丙午、二月日」と刻む。

嘉元四年(1306)の在銘で、来迎阿弥陀三尊の基準作例となる板碑 板碑、側・背面

 来迎寺(らいこうじ)阿弥陀一尊種子板碑 (千葉県香取市貝塚2005)

来迎寺(らいこうじ)阿弥陀一尊種子板碑 (年紀不明、黒雲母片岩)

頭部山形、下に二条線、身部は、縦に郭線を二本入れ輪郭を作る。輪郭内に阿弥陀種子「キリーク」を刻む。

「キリーク」は、瓔珞のついた天蓋と蓮座で荘厳されている。

 来迎寺(らいこうじ)阿弥陀三尊種子板碑 (千葉県香取市貝塚2005)

来迎寺(らいこうじ)阿弥陀三尊種子板碑 (年紀不明、黒雲母片岩)

身部は輪郭を巻き、阿弥陀三尊種子を刻む。

阿弥陀三尊種子は、上方に阿弥陀如来の種子「キリーク」、向って右下 に観音菩薩の種子「サ」、左に勢至菩薩の種子「サク」を刻む。

主尊の「キリーク」は、瓔珞(ようらく)のついた天蓋(てんがい)と蓮台で、脇侍の観音・勢至は蓮座で荘厳されている。

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来迎寺(らいこうじ)(浄土宗 鎮西派)

寛治二年(1088)、下総の豪族 千葉常蒋の建立という。

 板碑(いたび)

*JR成田線 小見川駅前から小見川循環バス 東南ルートに乗車、「いしげストア前バス停」下車 北方向へ徒歩 約150m。

(撮影:平成25年3月13日)