大法寺(だいほうじ)(千葉県香取市森戸438)
本堂左手 一段高い所、墓石の裏側に四基の下総型題目板碑がある。板碑は、慶長五年(1600)銘が三基、慶長十七(1612)年銘が一基の計四基。
大法寺(だいほうじ)題目板碑 (安土桃山時代 慶長五年 1600年三基、慶長十七年 1612年銘一基、黒雲母片岩)
大法寺(だいほうじ)(千葉県香取市森戸438)
題目板碑群中、最も古い 安土桃山時代 慶長五年(1600)六月の紀年銘がある下総型板碑。
大法寺(だいほうじ)題目板碑 (安土桃山時代 慶長五年 1600年、黒雲母片岩、高さ 77Cm 幅 73Cm) |
板碑の刻銘は八行で、向って右から「是人於仏道 妙栄山大法寺」、「南無妙法蓮華経 日楽大徳」、「決定無有疑 開山大教院」
「二聖鬼子母神 日藤母妙禅道安」、「南無妙法蓮華経 日理口口」、「開・・・」、「口口安・・・・」、「慶長五年(1600)、庚子、六月十口日」
板碑群、向って左から二基目。四基の内、最も古い慶長五年(1600)六月の紀年銘がある。この時代の常として、彫りは浅く判読しにくい。 |
刻銘の一行目「是人於仏道」、三行目「決定無有疑」、は法華経如来神力品に出る偈(げ)。
如来神力品に出る偈:是人於仏道(ぜにんおぶつどう)決定無有疑(けつじょうむうぎ)」
[ この人仏道(成仏)において決定して、疑いあることなし ]
大法寺(だいほうじ)(千葉県香取市森戸438)
題目板碑群中、向って右から二基目。安土桃山時代 慶長五年(1600)八月一日の紀年銘がある。
大法寺(だいほうじ)題目板碑 (安土桃山時代 慶長五年 1600年、黒雲母片岩、高さ 79Cm 幅 60Cm)
板碑の刻銘は六行で、向って右から「当地是処」、「南無妙法蓮華経 河原孫平法金菩提」(蓮座)、「即是道場」、
「慶長五年(1600)、庚子、八月一日」、「於未来世」、「口口口口口口経 妙栄逆修七分全得」(蓮座)
「南無妙法蓮華経」の題目を挟んで「当地是処」、「即是道場」は、法華経如来神力品に出る偈(げ)。
如来神力品に出る偈:「当地是処(とうちぜしょ)、即是道場(そくていどうじょう)」[ 当(まさ)に知るべし、この処は即ちこれ道場なり ]
大法寺(だいほうじ)(千葉県香取市森戸438)
題目板碑群中、向って左端の下総型板碑。安土桃山時代 慶長五年(1600)九月の紀年銘がある。
大法寺(だいほうじ)題目板碑 (安土桃山時代 慶長五年 1600年、黒雲母片岩、高さ 93Cm 幅 95Cm)
板碑の刻銘は、向って右から「題目講一結衆講衆」、「慶長五年(1600)・・・」、「法信」、「日迎」
「日忠」、「是人於仏道」、「開山日楽」、「南無妙法蓮華経 南無日蓮大口口」、「頓照院日理」、「決定無有疑」、
「法秀妙蓮蓮秀」、「口口妙延」、「・・・・・・成就所」、「九月上澣」
「南無妙法蓮華経」の題目を挟んで「是人於仏道」、「決定無有疑」は、法華経如来神力品に出る偈(げ)。
如来神力品に出る偈:「是人於仏道(ぜにんおぶつどう)決定無有疑(けつじょうむうぎ)」[ この人仏道(成仏)において決定して、疑いあることなし ]
大法寺(だいほうじ)(千葉県香取市森戸438)
題目板碑群中、向って右端の下総型板碑。安土桃山時代 慶長十七年(1612)の紀年銘がある。
大法寺(だいほうじ)題目板碑 (安土桃山時代 慶長十七年 1612年、黒雲母片岩、高さ 63Cm 幅 65Cm) |
身部上方は、中央に「南無妙法蓮華経」の題目、左右に「南無多寶如来」、「南無釈迦牟尼佛」を蓮座上に刻み主題両尊(題目三尊)とする。
両尊の向って右に「南無上行无辺行菩薩」、左に「南無浄行安立行菩薩」、
更にその両側に、「坐宝蓮華」、「成等正覚」の法華経 提婆達多品に出る偈(げ)を刻む。
下方は、中央題目の下に「日蓮大聖人」、左右に「日朗上人」、「日傳上人」、その左右に不動明王の種子「カン」、愛染明王の種子「ウーン」、
更に種子の両側に「悲母妙善逆修也」、「為妙忍逆修七分全得、現安後(現世安穏後生の略)善根」、「慶長十七年(1612)壬子、卯月三日」と刻む。
法華経 提婆達多品に出る偈(げ):「坐宝蓮華(ざほうれんげ)」、「成等正覚(じょうとうしょうがく)」[ 宝蓮華に坐して、等正覚を成就せん。] (等正覚:完全な悟り)
妙忍が母 妙善と自分の逆修供養の為、造立した。 | 紀年銘と不動明王種子「カン」 |
題目板碑に用いる種子は異字体の縦に長い種子が用いられている。
紀年銘:「慶長十七年(1612)壬子、卯月三日」
大法寺(だいほうじ)本堂(日蓮宗)
*JR成田線「大戸駅」下車、北東方向へ徒歩 約16分。
(撮影:平成25年3月12日)