比都佐(ひつさ)神社宝篋印塔

 日都佐(ひつさ)神社(滋賀県蒲生郡日野町大字十禅師440)

   宝篋印塔は、規模が大きく、細部意匠が優れ日本有数の石塔といわれるくらい評価が高い。

比都佐神社宝篋印塔(重要文化財、鎌倉時代後期 嘉元二年 1304年、花崗岩、現高 174.5Cm)

塔身、蓮華座上月輪内に胎蔵界四仏の種子を刻む(「アク」:天鼓雷音)
笠は、上の段方を七段として、大きい隅飾に対応している 塔身北面、蓮華座上月輪内に胎蔵界四仏の種子を刻む(「アン」:弥陀)

塔身北面の刻銘:「然則以弟子ホ作業之善苗偏資、先考得脱之福田」「乃至法界利益□□□□奉造立如件」

すっきりとした美しい宝篋印塔は、滋賀県を代表する宝篋印塔といわれる。また、刻銘により水精塔婆二基と法華経を納入したことが知られている

基礎上端は二段、側面は輪郭を巻き格狭間内に対向孔雀を入れる(正面:東面)

塔身西面、蓮華座上月輪内に開敷華王の種子 「アー」を刻む
塔身南面、蓮華座上月輪内に胎蔵界四仏の種子を刻む(「ア」:宝幢) 基礎西面(左側)の束に、嘉元二年(1304)の刻銘がある

塔身西面の刻銘:「奉書写如法如説妙法蓮華経三部 石塔内 奉納之」「右志者為奉訪慈父十二廻之忌辰也」

塔身南面の刻銘:「奉造立宝篋印石塔一基」「奉造立水精塔婆二基 仏舎利 奉安□」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

基礎南面は、輪郭を巻き格狭間内は対向孔雀を入れる

本来の相輪は欠失し、小宝篋印塔の基礎、五輪塔の風・空輪を載せる
基礎、北面の格狭間の内は開花蓮(かいかれん)となる 大きな隅飾は三弧(さんこ)で、輪郭を巻き内は素面

基礎西面の上面に「石塔中古致紛失処天和三(1683)亥年氏子奉建之」と刻まれた再建銘がある

基礎西面(背面)は、輪郭を巻き内に格狭間を作る。格狭間内と束に刻銘がある

格狭間内の刻銘:「願主 平・・・」「□五位□平□□宗□」「正□□・・・」「正六位上□□□・・・」「比丘尼妙□」「同  □□」「□□□□□」「母尼妙蓮」

束の刻銘:「嘉元二年(1304)甲辰十二月二日」

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比都佐神社鳥居から全景

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*近江鉄道「日野駅」下車、徒歩 15分。宝篋印塔の説明板は、「ひつさじんじゃ」(滋賀県教育委員会)。鳥居横の説明板は「ひづさじんじゃ」(日野観光協会・必佐公民館)と、かながふってある。どちらも正解なのだろう。

(撮影:平成19年7月7・19日、平成21年1月29日))