観音寺(かんのんじ)阿弥陀種子板碑

 戸田市立郷土博物館(埼玉県戸田市大字新曽1707)

   阿弥陀種子を主尊とする戸田市最古の板碑で、鎌倉時代中期 建長五年(1253)の紀年銘がある。

観音寺(かんのんじ)阿弥陀種子板碑(市指定文化財、鎌倉時代中期 建長五年 1253年、緑泥片岩、高さ 105Cm 下幅 41Cm)
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戸田市立郷土博物館に展示。向って右側の一部を破損する。身部は、上方に阿弥陀種子を蓮座上に、下方は紀年銘・偈文を刻む。

鎌倉時代中期 建長五年(1253)の作、さすがに厚さ 8.0Cmと分厚く、鎌倉後期以降の作品であれば損傷部は、欠失していたと思われる。

板碑 頭部

頭部は低い 山形、下に二段の切込。身部は一重線の輪郭を巻く。

身部上方、蓮華座上に阿弥陀如来の種子「キリーク」 身部、下方の刻銘

刻銘は、中央に「建長五年(1253)七月廿五日」、左右に各二行「無量寿経」に出る偈(げ)を刻む。

身部下方、無量寿経に出る偈(げ)

偈(げ):其仏本願力(ごぶつほんがんりき)、聞名欲往生(もんみょうよくおうじょう)、皆悉到彼国(かいしつとうひこく)、自致不退転(じちふたいてん)

[ その仏(阿弥陀如来)の本願力により、名を聞いて往生せんと欲すれば、皆ことごとく彼の国(極楽)に到りて、おのずから不退転に致らん。 ]

刻銘:「建長五年(1253)七月廿五日」 観音寺境内にはレプリカが立っている。

観音寺 阿弥陀種子板碑(レプリカ)の刻銘部

中央刻銘:「建長五年(1253)七月廿五日」

左右刻銘:口口本願力、聞名欲往生」、「皆悉到彼国、自致不退転」

 観音寺(かんのんじ)阿弥陀三尊種子板碑                     石仏と石塔-目次!

観音寺(かんのんじ)仁王門 (江戸時代中期 正徳二年 1712年)

観音寺は、本尊を如意輪観音とする真言宗智山派の寺院。

 板碑(いたび)

*戸田市立郷土博物館へは、JR埼京線 「戸田駅西口」下車、西方向へ徒歩 約7分。尚、撮影は許可が必要。

(撮影:平成24年11月13日、平成25年3月8日)