円城寺(えんじょうじ)正中二年銘 二連板碑

 円城寺(えんじょうじ)(埼玉県比企郡小川町大字青山654)

   小川町付近に特有の二連板碑を二基有し、両方とも本尊が阿弥陀如来の種子で、この地方を代表する板碑である。

円城寺二連板碑 (町指定文化財、鎌倉時代後期 正中二年 1325年、緑泥片岩、高さ 115Cm 下幅 65Cm)

本堂西側の墓地に立つ二基の内、右側の板碑。幅広の石材で、板碑二基を彫成した二連板碑で、それぞれ阿弥陀の種子を本尊とする

板碑 上部

頭部は水平で、下に二段の切込をつくる。身部は二重線の輪郭を巻く

身部 上方

それぞれ阿弥陀如来の種子「キリーク」を蓮華座上に薬研彫する

身部下方、中央の紀年銘と左方の追刻 板碑 側面

身部の下方中央に「正中貳秊(1325)乙丑閏正月廿二日敬白、左方に「貞和二年(1346)九月十六日比丘尼道阿」、右方に「沙弥圓阿」の追刻がある

板碑、下方の刻銘

中央に「正中貳秊(1325)乙丑閏正月廿二日の紀年銘、左右に各々梵字で同文の光明真言を刻み、梵字の中央に各追刻がある

光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ、シャナ、マ、カーボ、ダラ、マ、ニ、ハンドマ、ジンバラ、ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン」

二基並んで立つ二連板碑

向かって左側が延文六年(1361)銘で、右側が正中二年(1325)銘

円城寺(えんじょうじ)薬師如来図像板碑 (写真:現地説明板)

 円城寺(えんじょうじ)(埼玉県比企郡小川町大字青山654)

  本堂内の小厨子に安置されている。上部が水平に加工され、薬師如来坐像が刻まれている。

円城寺薬師如来図像板碑(町指定文化財、鎌倉時代後期 嘉暦三年 1328年、緑泥片岩、高さ 61Cm、幅 29Cm

身部の三方を二重線で輪郭をとる。上方に二重円光を負い、蓮華座に坐す薬師如来を刻む。薬師の左手は、腹前で薬壺を持っている

板碑 下部

薬師如来の下に薬師経 第七願 四句の偈(げ)と嘉暦三年(1328)の紀年銘を刻む

偈(げ):我之名号(がしみょうごう)、一経其耳(いっきょうごに)、衆病悉除(しゅびょうしつじょ)、心身安楽(しんじんあんらく)

[ わが薬師如来の名号が、一たびその耳に経たなれば、諸病ことごとく除かれ、心身安楽なり ]

紀年銘:「嘉暦三年(1328)戊辰十二月日」

 円城寺(えんじょうじ)延文六年銘 二連板碑                    石仏と石塔-目次!

円城寺 (曹洞宗)

 板碑(いたび)

*JR八高線・東武東上線 「小川駅」下車、南方向へ徒歩 約20分。

(撮影:平成22年11月19日)