野上下郷(のがみしもごう)釈迦一尊 種子板碑

 野上下郷(のがみしもごう)種子板碑(埼玉県秩父郡長瀞町野上下郷39)

   日本で最大高を誇る板碑で、高さ537Cm。国の史跡になっている。

野上下郷 釈迦一尊種子板碑 (国指定史跡、南北朝時代中期 応安二年 1369年、緑泥片岩、高さ 537Cm)

身部上方に三弁宝珠を刻み、釈迦の種子「バク」を蓮華座上に薬研彫する。最大板碑と呼ばれ、日本で一番大きな板碑として知られる

板碑 上部

頭部山形、その下に二段の切込をつくる。身部は、一重線の輪郭を巻く

釈迦の種子「バク」の上に荘厳点・三弁宝珠を刻み、蓮華座の花心に四つの宝珠を陰刻する。下方は、梵字の光明真言と銘文を刻む

板碑、下方の光明真言(梵文)

光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ」「シャナ、マ、カーボ、ダラ」「マ、ニ、ハン、ドマ、ジンバラ」「ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン」

板碑、下方の刻銘

中央に「応安二年(1369)己酉十月日」の紀年銘、左右上部に「願以此功徳、普及於一切」「我等与衆生、皆共成佛道」の法華経化城喩品の偈を刻み

左右下部に「権小僧都大檀那、道観、比丘尼妙円、行阿」「正家、正吉、結衆 三十五人、道観、敬白」の銘文を刻む

法華経化城喩品の偈(げ)

「願以此功徳(がんにしくどく) 普及於一切(ふぎゅうおいっさい) 我等与衆生(がとうよしゅじょう) 皆共成仏道(かいぐじょうぶつどう

[ 願わくばこの功徳をもって、あまねく一切に及ぼし、我等と衆生と、皆共に仏道を成ぜん ]

板碑、側面と背面

現地説明板によれば、この板碑は、当地「仲山城」の城主阿仁和直家が落城の際討ち死にして、

十三回忌の応安二年(1369)十月に夫人の芳野御前(妙円尼)が追善供養の為に建立した。

荒川 上流 長瀞

長瀞は、板碑の材料である緑泥片岩の産地である

秩父鉄道 樋口駅 近辺

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野上下郷 種子板碑 遠景

 板碑(いたび)

*秩父鉄道 「樋口駅」下車 、東北東方向へ 徒歩 約7分。

(撮影:平成22年4月10日)