総持寺(そうじじ)二重宝篋印塔南塔

 総持寺(そうじじ)(埼玉県秩父郡長瀞町本野上924-1)

  夫妻の逆修塔として造立された二重宝篋印塔で、南塔は夫:宗泉、北塔は妻:継芳の逆修塔。天文五年(1536)の紀年銘がある。

総持寺二重宝篋印塔 南塔 (町指定文化財、室町時代後期 天文五年 1536年、安山岩、高さ 149.1Cm)

二層目軸部、輪郭を巻き四方仏の種子を刻む(正面、タラーク:宝生如来)
本堂に向って左手墓地内、奥まった場所に二基並んで立っている。 二層目軸部、輪郭を巻き四方仏の種子を刻む(南面、キリーク:阿弥陀如来)

二層目軸部は、輪郭を巻き月輪内に四方仏を刻むが、宝生如来(タラーク、通常南面)の種子が東面(正面)になっており、反時計方向に90度戻った位置になっている。

二層目 笠

笠の段型は、下二段、上四段、四段目は縦連子、隅飾りは一弧輪郭付で内に蕨手文様を薄肉彫りし、外傾する。

二層目軸部、輪郭を巻き四方仏の種子を刻む(背面、バク:釈迦如来)
二層目軸部、輪郭を巻き四方仏の種子を刻む(北面、バイ:薬師如来) 宝篋印塔は、関東特有の二重形式になっている。

二層目軸部、四方仏の種子は、東面(正面)が「宝生如来(タラーク)」、南面が「阿弥陀如来(キリーク)」で金剛界四仏の内二仏。

西面が「釈迦如来(バク)」、北面が「薬師如来(バイ)」で顕教四仏の内 二仏を刻み、顕・密混合したものが配されている。・・・・・・

二層目 笠

縦連子を多用し、隅飾りの蕨手文様と相まって工芸的な作品になっている。

相輪は下から、反花文様の伏鉢、請花、九輪、請花、宝珠。また、全体に苔の付着や摩耗があり、特に背面は刻銘が判読困難となっている。

初層 笠

隅飾りの内に蕨手(わらびて)を薄肉彫りし、全体に高欄(勾欄)風になっている。

.初層軸部 東面(正面) .初層軸部 北面

初層軸部、北・東面は二列三段に罫線を引き、北・東面から南・西面へと続く梵字・光明真言を刻んでいる。

①.北面:「オン、ア、ボ」「ギャ、ベイ、ロ」  .東面:「シャ、ナ、マ」「カー、ボ、ダラ」

光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ」 「シャ、ナ、マ、カー、ボ、ダラ」 「マ、ニ、ハン、ドマ、ジンバ、ラ」 「ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン、(ハッタ、ソワー、カー)、ダ(休止符)

.初層軸部 南面

南面も二列三段に罫線を引き、六文字の梵字光明真言を刻む。

.南面:「マ、ニ、ハン」「ドマ、ジンバ、ラ」

.初層軸部 背面(西面)

西面のみ三列三段に罫線を引き、九文字の梵字・光明真言を刻む。西面(背面)は、摩耗が激しくほとんど判読不能で、下記の刻銘と思われる。

.西面:「ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン、ハッタ、ソワー、カー、ダ(休止符)

光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ」 「シャ、ナ、マ、カー、ボ、ダラ」 「マ、ニ、ハン、ドマ、ジンバ、ラ」 「ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン、(ハッタ、ソワー、カー)、ダ(休止符)

基礎 正面(東面)、種子「ア(宝幢)」

基礎上端は複弁反花、側面は輪郭を巻き、内に胎蔵界四仏の種子を月輪内に刻み、両側に銘文を各一行 四面に刻む。

胎蔵界四仏の種子は、北面:「天鼓雷音(アク)」、東面:「宝幢(ア)」、南面:「開敷華王(アー)」、西面:「無量寿(アン)」を刻む。

刻銘は北面から東面、南面、西面へと刻まれ「大日本国武蔵州、秩父郡白鳥郷」(北面)、「下野村住嶋田、

弾正忠満吉」(東面)「逆修功徳主、渓岫宗泉禅門」(南面)、「旹(時)天文五年(1536)丙申(西面)と刻む。

基礎 南面、種子「アー(開敷華王)」

側面は輪郭を巻き、内に胎蔵界四仏の種子「アー:開敷華王」

、両側に「逆修功徳主、渓岫宗泉禅門」の銘文を刻んでいる。

総持寺(そうじじ)二重宝篋印塔(島田家宝篋印塔) (町指定文化財、室町時代後期 )

向って左側が本宝篋印塔(南塔、夫:宗泉塔)で、右側が北塔(妻:継芳塔)。夫妻の逆修塔として造立された。

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総持寺(そうじじ)本堂 (臨済宗南禅寺派)

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*秩父鉄道 「野上駅」下車、西方向へ 徒歩 約8分。

(撮影:平成24年11月12日)