遍照院(へんじょういん)(埼玉県久喜市久喜北 1-8-53)
身部に天蓋(てんがい)を刻んだ板碑で、久喜市で最も古い 鎌倉時代中期 建長七年(1255)の紀年銘がある。
遍照院 胎蔵界大日種子板碑 (市指定文化財、鎌倉時代中期 建長七年 1255年、緑泥片岩、高さ 111Cm 下幅 35Cm)
本堂の手前、境内に立つ。身部は優美な天蓋の下、胎蔵界大日の種子「ア」を蓮華座上に大きく刻み、下部に紀年銘と願文を浅く彫る。 |
板碑 頭部
頭部山形、下に二条線。身部は、上方に天蓋(てんがい)を刻み、郭線はない。
身部 上方の天蓋(てんがい)
胎蔵界大日種子の上部を、宝珠・蓮華・瓔珞(ようらく)で構成する天蓋(てんがい)で飾る。
武蔵型板碑(埼玉県)における天蓋の初現は建長三年(1251)で、この板碑は建長七年(1255)の紀年銘を持つ。
1250年代で天蓋のある板碑は、埼玉県で三基しかなく、天蓋初期の形を持つといえる。
梵字「ア」は、字音の初めで、万物の始原を象徴する文字でもある。 | 身部上方、胎蔵界大日如来の種子「ア」。 |
身部下方、刻銘
中央に「建長七年(1255)六月日」、向って右に「右志者為過去・・」、左に「往生口口證口口・・」の刻銘がある。
本板碑は、久喜市に現存する板碑として最も古く、保存状態も良い。 | 板碑、側・背面 |
遍照院(へんじょういん)本堂 (真言宗智山派)
*東武伊勢崎線、JR宇都宮線 「久喜駅」下車、北方向へ徒歩 約12分。
(撮影:平成24年11月13日)