長福寺(ちょうふくじ)(埼玉県さいたま市北区別所町98-6)
主尊を荘厳する天蓋(てんがい)の形が珍しい板碑で、鎌倉時代後期 延慶三年(1310)の紀年銘がある。
長福寺 阿弥陀三尊種子板碑(中央)(市指定文化財、鎌倉時代後期 延慶三年 1310年、緑泥片岩、高さ (114Cm?) 下幅 34Cm)
板碑群後列、中央に立つ。身部は上方天蓋の下、阿弥陀三尊種子を蓮座上に、下方に紀年銘と観無量寿経に出る光明遍照 偈を刻む。 |
板碑 頭部
頭部 山形、下に二条線、身部は一重の輪郭を巻く。輪郭内最上部に天蓋を刻む。
天蓋(てんがい)
中央に逆蓮、左右に各一個の蓮座を連ねて天蓋とする。
蓮座上に「阿弥陀三尊」の種子刻む。 | 刻銘:「延慶三年(1310)、庚戌、八月 日、敬白」 |
阿弥陀三尊は、上方に阿弥陀の種子「キリーク」、向って右下 に観音の種子「サ」、左に勢至の種子「サク」を蓮座上に刻む。
刻銘は、中央に「延慶三年(1310)、庚戌、八月 日、敬白」の紀年銘、左右に各二行「観無量寿経」に出る偈(げ)を刻む。
観無量寿経に出る偈(げ)
偈(げ):「光明遍照(こうみょうへんじょう)、十方世界(じっぽうせかい)、念仏衆生(ねんぶつしゅじょう)、摂取不捨(せっしゅふしゃ)」
[ 光明はあまねく十方世界を照らし、念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず。]
阿弥陀種子板碑・名号(南無阿弥陀仏)板碑・阿弥陀図像板碑にのみ刻まれている偈(げ)で、一番多く使われている。
身部上方 阿弥陀種子の中央で二分断され、修理が施されている。主尊の阿弥陀三尊を荘厳する天蓋の形が珍しく、板碑群中いちばん大きい。
長福寺(ちょうふくじ)正和二年銘 阿弥陀種子板碑. 石仏と石塔-目次!
長福寺(ちょうふくじ)板碑群 後列
前・後列、合わせて十三基の板碑が覆屋内に安置され、一括で市の文化財に指定されている。
*JR高崎線 宮原駅西口から東武バスウェスト 「別所団地・しらかば通り」行きに乗車、「しらかば通りバス停」下車、北方向へ約300m。
(撮影:平成25年3月10日)