大英寺(だいえいじ)光明真言断碑

 大英寺(だいえいじ)(埼玉県加須市騎西1404)

   板碑の上半を欠損するも、下半に光明真言を一字ずつ月輪で荘厳した板碑で、鎌倉時代後期 嘉暦二年(1327)の紀年銘がある。

大英寺(だいえいじ)光明真言断碑(市指定文化財、鎌倉時代後期 嘉暦二年 1327年、緑泥片岩、高さ 120Cm 下幅 45Cm)

板碑群、向って左から三基目の板碑で、上半を欠損する。下半は、中央に紀年銘、左右に光明真言を月輪内に一字ずつ刻む。

身部 上方

板碑の上半を欠損する。身部は蓮座が残り、下方も二重線の輪郭を巻く。

光明真言 上方 光明真言 下方
縦列、向って右に十一字、向って左に十二字、光明真言を一字ずつ月輪の内に刻んでいる。

中央に「延(嘉)暦二年(1327)丁卯、十一月二十九日、口口禅尼、口口禅門の紀年銘がある。

紀年銘の延暦二年は、「嘉暦」「延暦」に改刻していて、嘉暦二年(1327)が本来の紀年銘。

光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ、シャ、ナ、マ、カー、ボ」 「ダラ、マ、ニ、ハン、ドマ、ジンバ、ラ、ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン」

身部 下方

中央下方に「口口禅尼、口口禅門」と刻まれ、在俗出家の夫妻が造立したものと思われる。

銘:「延(嘉)暦二年丁卯、十一月二十九日」 板碑の上半を欠損するのが、惜しまれる。

大英寺(だいえいじ)阿弥陀三尊種子断碑

 大英寺(だいえいじ)(埼玉県加須市騎西1404)

   阿弥陀三尊の種子が残る板碑で、鎌倉時代中期 弘安元年(1278)の紀年銘がある。

大英寺(だいえいじ)阿弥陀三尊種子断碑 (鎌倉時代中期 弘安元年 1278年、緑泥片岩、高さ 81Cm 幅 33Cm)

阿弥陀三尊の脇侍 勢至菩薩の種子「サク」を残し、下方に光明遍照偈と鎌倉時代中期 「弘安元年(1278)」の紀年銘が刻まれている。

中央に「弘安元年(1278)、戊寅、十一月 日」、左右に観無量寿経に出る偈(げ)を刻む。 刻銘:「弘安元年(1278)、戊寅、十一月 日」

偈(げ):「光明遍照(こうみょうへんじょう)、十方世界(じっぽうせかい)、念仏衆生(ねんぶつしゅじょう)、摂取不捨(せっしゅふしゃ)

[ 光明はあまねく十方世界を照らし、念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず。]

 大英寺(だいえいじ)阿弥陀種子板碑(三弁宝珠)                 石仏と石塔-目次!

大 英 寺  板 碑 残 欠

(左):阿弥陀の名号、(中央):胎蔵界大日の種子「ア」、(右):阿弥陀三尊の種子「サク(勢至)」と弘安元年(1278)の紀年銘、光明遍照偈が残る。

 板碑(いたび)

*東武伊勢崎線 加須(かぞ)駅前から朝日バス 鴻巣駅・免許センター行きバスに乗車、「根古屋バス停」下車 、南方向へ 約600m。

(撮影:平成22年4月9日、平成25年3月7日)