常泉院(じょうせんいん)阿弥陀三尊種子断碑

 常泉院(じょうせんいん)(埼玉県加須市平永735)

  上半を欠失するのが惜しまれる。小さな板碑だが、主尊の蓮華座から垂れる瓔珞(ようらく)や珍しい偈を刻んだ板碑で、永仁三年(1295)の紀年銘がある。

常泉院 阿弥陀三尊種子断碑鎌倉時代中期 永仁三年 1295年、緑泥片岩、高さ 66Cm 下幅 33Cm)

本堂前左手、覆屋内に立つ。板碑上方を欠失し、三尊種子の脇侍以下が残っている。身部下方は、出典未詳の偈と紀年銘を刻む。

刻銘は、中央に「永仁三年(1295)乙未 二月時正第一」、左右に各二行出典未詳の偈(げ)を刻む。

身部、上方

三尊種子は、上方の阿弥陀種子を欠失し、弥陀の蓮華座から下方に垂れる瓔珞(ようらく)が残る。

向って右側 に観音菩薩の種子「サ」、左に勢至菩薩の種子「サク」を蓮華座上に刻む。

偈 文(出典未詳)

偈(げ):「若人造五逆(にゃくにんぞうごぎゃく)、得聞六字名(とくもんろくじみょう)、火車自然去(かしゃじねんきょ)、花台即来迎(かだいそくらいごう)

[ 若し人五逆の罪をつくるとも、六字の名号を聞くを得ば、火車(罪人を地獄へ送る火のついた車)は自然に去り、花台(観音の持つ蓮台)がすぐに来迎せん。]

刻銘:「永仁三(1295) 板碑、側・背面

 成就院(じょうじゅいん)阿弥陀種子板碑.                     石仏と石塔-目次!

常泉院(じょうせんいん) (真言宗智山派)

 板碑(いたび)

*東武伊勢崎線 加須(かぞ)駅下車、西方向へ 直線距離で 約3.5Km、平永交差点の北西側。加須駅から北へ約250mの場所にある「加須市商工会館」の無料レンタサイクルを利用するのが便利。

(撮影:平成25年3月7日)