成就院(じょうじゅいん)(埼玉県加須市道地1570)
阿弥陀如来の種子「キリーク」を主尊とする板碑で、鎌倉時代中期 弘長三年(1263)の紀年銘がある。
成就院(じょうじゅいん)阿弥陀種子板碑(鎌倉時代中期 弘長三年 1263年、緑泥片岩、高さ 145Cm 下幅 45Cm)
門前の参道、左手に立っている。身部は、上方に阿弥陀如来の種子を蓮華座上に、下方に観無量寿経に出る偈(げ)と紀年銘を刻む。 |
板碑は、二分断され修理が施されている。全体に摩耗が少なく、七百五十年前の遺品とは思えないほど刻銘もくっきりと読める。
板碑 頭部
頭部は低い 山形で、頂部を欠損する。下に二段の切込。身部は二重線の輪郭を巻く。
蓮華座上に阿弥陀如来の種子「キリーク」を刻む。 | 身部、下方の刻銘 |
刻銘は、中央に「弘長三年(1263)、癸亥、六月 日」、左右に「観無量寿経」に出る偈(げ)を刻む。
観無量寿経に出る偈(げ)
偈(げ):「光明遍照(こうみょうへんじょう)、十方世界(じっぽうせかい)」、「念佛衆生(ねんぶつしゅじょう)、摂取不捨(せっしゅふしゃ)」
[ 光明はあまねく十方世界を照らし、念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず。]
刻銘:「弘長三年(1263)、癸亥、六月」 | 鎌倉時代中期 弘長三年(1263)の紀年銘がある。 |
成就院(じょうじゅいん)板碑群(埼玉県加須市道地1570)
弘長三年(1263)銘阿弥陀種子板碑と同じ参道に立っている。
成就院(じょうじゅいん)阿弥陀種子板碑(緑泥片岩、高さ 89Cm 下幅 29Cm)
刻銘は、磨滅し不明。
釈迦一尊種子板碑(向って左) (緑泥片岩、高さ 72Cm 下幅 34Cm)
寛元銘断碑(向って右)(鎌倉時代中期 寛元年間 1243~47年、緑泥片岩、高さ 115Cm 下幅 49Cm)
成就院(じょうじゅいん)本堂
成就院は江戸時代初期の創建と伝える。
この周辺は、「武蔵七党 野与(のよ)党の一族」 道智(どうち)氏の館跡といわれ、板碑は道智氏に係わるものとされている。
*東武伊勢崎線 加須(かぞ)駅下車、南西方向へ 直線距離で 約4Km。加須駅から北へ約250mの場所にある「加須市商工会館」の無料レンタサイクルを利用するのが便利。
(撮影:平成25年3月7日)