普門寺(ふもんじ)(埼玉県加須市南篠崎942)
門を入った左手側に六基の板碑が立っている。すべて鎌倉時代 中・後期の作品
普門寺 板碑群 (①文永四年(1267)銘、高さ 208Cm ②正元二年(1260)銘、高さ 185Cm③文永七年(1270)銘、高さ 161Cm
④文永九年(1272)銘、高さ 152Cm ⑤正応五年(1292)銘、高さ 172Cm ⑥年号不明、高さ 116Cm)
①
普門寺阿弥陀一尊種子板碑(市指定文化財、鎌倉時代中期 文永四年 1267年、緑泥片岩、高さ 208Cm) |
板碑群六基の後列中央の板碑で、塔身上部に三弁宝珠を刻み、荘厳体で阿弥陀如来の種子「キリーク」を蓮華座上に薬研彫する
板碑 上部
頭部山形を欠損、その下に二段の切込をつくる。身部は、二重線の輪郭を巻く
塔身上部:荘厳体で、阿弥陀の種子「キリーク」を薬研彫する | 板碑、下方中央に文永四年(1267)の紀年銘が入る |
下方の刻銘は、中央に「文永第四暦(1267)丁卯終秋日」の紀年銘、左右に「帰三宝偈」に出る偈(げ)を刻む。
偈(げ):「願以此功徳(がんにしくどく)平等施一切(びょうどうせいっさい)」「同発菩提心(どうほつぼだいしん)往生安楽国(おうじょうあんらくこく)」
[ 願わくば此の功徳をもって、あまねく一切に施し、同じく菩提心をおこして、安楽国に往生せん。]
普門寺阿弥陀一尊種子板碑(市指定文化財、鎌倉時代中期 正元二年 1260年、緑泥片岩、高さ 185Cm) |
板碑群六基の後列向かって右端の板碑で、塔身上部に阿弥陀如来の種子「キリーク」を蓮華座上に薬研彫する
板碑 上部
頭部山形、その下に二段の切込をつくる。身部は輪郭を巻かない
身部下方の中央に「正元口庚口(1260)二月日」の紀年銘、左右に「願以此功徳、普及於弌(一)切」「我等与衆生、皆共成仏道」の偈 |
正元の年号は二年しかなく、元年の干支は己未、二年の干支は庚申。板碑は、正元と庚が読める為、紀年銘は正元二年(1260)となる
法華経化城喩品の偈(げ):「願以此功徳(がんにしくどく) 普及於一切(ふぎゅうおいっさい) 我等与衆生(がとうよしゅじょう) 皆共成仏道(かいぐじょうぶつどう」
[ 願わくばこの功徳をもって、あまねく一切に及ぼし、我等と衆生と、皆共に仏道を成ぜん ]
前後列に、各三基の板碑
普門寺(ふもんじ)文永七年銘 種子板碑 他 石仏と石塔-目次!
普 門 寺 (ふもんじ)
*東武伊勢崎線 「花崎駅」下車 、北方向へ 徒歩 約16分。
(撮影:平成22年4月9日)